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ガチャ53 アクエリアスの泉と魔粒銀糸のバンテージ

 リュウはスマートフォンの画面に映るモノを眺めながら、少年のように興奮して右手を思い切り握りしめてガッツポーズを取る。


(これだから、ガチャはやめられないな! 

 ……。

 少し熱中し過ぎたかもしれない。どれくらいの時間が経ったか、検討もつかん。

 今は何時くらいだ?)


 リュウは懐からディザイアクロックを取り出す。

 白銀の蓋を開け、蒼い文字盤に目をやった。

 針は21時を指し示している。


(もう、こんな時間か……。それほど疲れも溜まっていないし、今日は時間もある。久しぶりに素振りをしよう)


 リュウはマジックポーチにしまっていたウエイトアクセルソードを取り出す。

 ウエイトアクセルソードの外見は刃の潰れたなまくらの鉄剣だが、見た目からは想像できないほどの重量をリュウは腕に感じていた。

 

(こいつも、一応は魔剣なんだよな。振れば振るほど重くなるなんて、本当に嫌になるが……。剣スキルと筋力値が素振りで上がる内はやらざるを得ないか)


 リュウは聖天幕の中でウエイトアクセルソードを使い素振りを始めていく。


 全力で振るうほどに重量が増す鉄剣を、幾度となく振り上げては斬り下ろすこと数時間。際限なく増えていく重さに全身の筋肉が悲鳴を上げていたが……。


「……10000! ふぅーー。結構、しんどいな」


 疲労困憊となったリュウは、ウエイトアクセルソードをグリードムントの指環へ収納し、額から流れ落ちる汗を拭う。


「風呂、入るか」

 

 リュウはそう呟きながらフレイムタンと魔弾の拳銃を床へ置き、劣竜革のジャケットとボトムを脱いでゆっくりとアクエリアスの泉へ近づいていく。


 バスタブは美しいサファイヤのような天然石で作られており、四隅にある天使の石像が抱えている水瓶から癒しの効果を持つ乳白色の温水を掛け流している。

 バスタブの縁までたっぷりと満ちる水面。

 立ち昇る湯気。

 リュウは肩まで一気に浸かる。

 

「……いい湯だ」


 リュウは目を閉じながら全身を包むお湯の温かさを感じていた。


(こんなに広い風呂に1人で入るなんて、凄く贅沢だよな。地球にも無いくらいじゃないか? 温泉並みだよな……)


 思いふけっていると、リュウは身体に溜まった疲れが気休めではなく、確実に回復しつつあることを体感していた。


(おおっ! 少しずつだが、全身に溜まった疲労が抜けていってるぞ! 本当に僅かだが、筋肉痛も和らいできてるだけじゃない。断裂した筋肉が、回復していく感覚だ! 流石はSSランクのマジックアイテムだな!!)


 リュウは想像以上の癒しを与えてくれたアクエリアスの泉に感謝し、気の済むまでゆっくりと湯に浸かるのだった。


――数十分後。


 のぼせそうになったリュウはアクエリアスの泉から既に上がっており、特殊な雲で作られたベットであるクラウドパラダイスに、肌着姿で腰かけていた。


 外は冷たい秋風が吹いており、気温も夜になってグッと冷え込んでいる。

 普通の天幕でリュウのように薄着で過ごしていれば、確実に寒くて震えることになっていただろう。

 そのため、一般的な冒険者は大きく嵩張る毛布を荷物持ちに持たせて歩き、天幕内で過ごす時に装備を着たまま毛布を被って寒さを凌ぐというのが常識とされていた。

 魔導機構で快適な室温を保てる聖天幕だからこそ、リュウはこのような姿でいれるのだ。

 他の冒険者が知れば、喉から手が出るほど欲しいマジックアイテムである。


(知られたら不味い品物が増えまくってるよな。……本当に、さっさと強くなりたいもんだ。こんなに便利なものも、今はまだ、人目を気にして隠さなきゃならないんだからな)


 リュウはそう考えながら、先ほどレアガチャで手に入れた魔粒銀糸のバンテージ、殺気消サイレンサーし、ダマスカス鋼のタワーシールドをグリードムントの指環から取り出してのクラウドパラダイスの上に並べていく。


(龍印を刻むか)


 リュウは順番に右手を添えて東洋の龍をイメージしながら魔力紋を刻んでいく。

 右手からは刻印の完了を知らせる橙色の光が3連続で立ち昇った。

 僅か数十秒で全てに龍印を刻んだリュウは、魔粒銀糸のバンテージを残してグリードムントの指環へと戻し、一息つく。

 

(次は……。バンテージの生成を試すか)


 リュウが空っぽな半透明の円筒型ケースにある程度のMPを込めてみると、中に魔法の力を感じさせるバンテージが包帯のように巻かれていく。


(……なるほど。こうなるわけか)


 リュウはケース内に詰まった銀灰色のバンテージを取り出し、両手に巻き付けていく。グリードムントの指環が隠れるように、左手は特に丁寧に巻いていった。


(よし。これで上手いこと指環を隠すことができた。相手から視認されないってだけで、初見の相手には色々と効果が見込めるからな。あとは……)


 魔粒銀糸のバンテージを巻いた両拳を、胸の前で強めに打ち合わせる。

 しかし、感じた衝撃はほんの僅か。

 リュウは予想通りの結果に口角を上げていた。


(これなら、拳闘も可能だ! 多めに魔力を込めたものを作って装着しなおそう。確か、属性の付与もできるって書いてあったよな。

 雷属性は、雷魔法だけで十分足りてる。選ぶのは他の属性がいい。

 一応、4大属性と闇属性も原初魔光オリジンエーテルの調べで反応させられたんだし、やってみる価値はあるだろう。気に入らなかったら、やり直せばいいしな。

 火はフレイムタンがあるから必要ない。

 水、風、土のどれかだな。どうするか)


 リュウはしばらく考え込む。しかし、時間ばかり過ぎていき、結論が出なかった。


(……たまには直感に従ってみるか)


 そう思ったリュウは、半透明のケースにMPを込め始めるのだった。

お読み頂きありがとうございます。


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