ガチャ47 螺旋階段に落ちる3英傑の影
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「なるほど。それであんな手の込んだ芝居をしたわけか。シュバルツにはさっそく借りができたな……」
突然始まった芝居が内通者を炙り出すためものというのは薄々感づいていたが、リュウはシュバルツが己の命を間接的に守ろうとしてくれていたことには気がついていなかった。
(フンッ。頼んでもいなってのに。……まあ、嫌いじゃない)
シュバルツが困ったら手を貸してやろう。そんな風に思いながらリュウは口の端だけを上げて笑った。
しかし、赤くした顔のまま階段を下りてきていた武骨者は笑っているリュウを見て、さらに怒りが湧き上がっていた。
マルコは素早く階段を駆け下り、リュウのがら空きになった脇を小突く。
「お前のせいで騒がしくなったじゃないか! あんな振る舞いしてたらどうなるか、わかってたよな?」
リュウは顔を僅かに歪めている。
剛剣の異名を持つ怪力を誇るマルコの軽めの一発は、覚悟していても痛いのだ。
「……ぐっ。煩い奴だ。挨拶だけはちゃんとしただろ?」
「言葉使いがアレじゃ意味ないわ! 後で嫌みを言われる俺の立場になってみろ!」
オーガも真っ青になるような形相でリュウの胸倉をつかんだマルコ。
対するリュウはポーカーフェイスで皮肉を口にする。
「へぇ。後で嫌みを言われるのか? それは、大変そうだな。……俺には関係にないことだが」
「……このバカ! シュバルツ様だからこれで済んだが、他の国なら処刑されることもありえたんだぞ!」
マルコはリュウの言葉を聞いて益々ヒートアップしていた。
「マルコ君。落ち着こうか」
熱くなったマルコを見かねたリィオスが会話を止めるために間に入る。
どこ吹く風とすまし顔のリュウにも釘を刺した。
「リュウ君もあまり挑発しないように! ……でも、マルコ君の言う通りだよ。
リュウ君って、本当に怖いもの知らずだよね。
シュバルツ様を呼び捨てにした時は、流石に驚いたよ」
リュウは鋭い目つきでリィオスを見ながら答える。
「フンッ。お礼をしたいと言って呼んできた国王が、王国の危機を救った冒険者に無礼な言葉遣いをされたくらいで罪に問うはずがないからな」
何でもないことだと言わんばかりの表情を浮かべているリュウ。
マルコは常識をまるで理解していないリュウにシュバルツが如何に優れた王なのかを言い聞かせようとする。
「だから、それはシュバルツ様が寛大なお方だからだって言ってるだろ?」
リュウはマルコの意図に気がつきながらも、話を続けていく。
「そうだな。お前らのような怪物級の強さを誇る人間を要職につけ護衛に当たらせるくらいには寛大なわけだ。」
リィオスは弟子に怪物扱いされたことを嘆く。
「……リュウ君。怪物だなんて酷いじゃないか」
「お前は、桁違いだからな。生涯この評価が覆ることはないだろう。諦めろ」
肩を落とすリィオスを横目に見ながら、リュウは話を戻す。
「この王国中を探しても、お前らより強い奴なんていないだろ?
実際騎士団の連中とすれ違ったが俺より強い奴すらいなさそうだったしな」
頷くマルコを見て、リュウは話を続けていく。
「そこら辺の兵士を相手するなら何人だろうが瞬殺できるような実力者。そんな奴等が自分の部下なわけだ。第3者から見ると、危うい関係性だと思うぞ?
お前達が少しでも野心を持っていれば、この国はお前達のものになっていただろうな」
「……別に私は王になりたいわけじゃないよ。シュバルツ様の人柄に惹かれ、理想に共感できたから臣下となったんだ」
弟子から怪物と言われ、肩を落としているリィオス。しかし、シュバルツに従っていることは心酔しているからだと力強く言い切った。
マルコも腕を組み、俺も同じだと目で訴えている。
「お前達の忠誠心を疑ってるわけじゃない。あくまで、そういうリスクを抱えてシュバルツはお前達を登用しているってことだ。……腕力も権力も財力も通用しないような化け物をな。
そうなると、お前達のような強者を従えるにはそれら以外の魅力が必要だったはず。
恐らくそれは信念。
身分による差別の撤廃だなんて、正直俺も面白いと思ったよ。それを、階級の最上位である王が言ってるんだから」
リィオスとマルコは何度も頷いていた。
「つまり、国王がカリスマ性を持ち、なおかつ器の大きい人物であることは王城に来る前から予想できていたってわけだ。
だから、俺が無礼な言葉使いをした程度で騒ぐことはないと踏んでいた。
謁見が始まって、予想通りになると直ぐに確信したよ」
マルコはリュウの話を聞いて、弟分の意外な一面を発見し、目を見開いていた。
「……リュウ。少しは考えてたんだな。常識知らずの馬鹿かと思ってたぞ」
リュウは苦笑しながら、今から言うことに気恥ずかしさを感じ、師匠と兄弟子から目を背ける。
「……それにだ。仮に、俺が無礼を働いたことが罪に問われたとして、リィオスとマルコは俺が殺されるのを黙ってみているつもりだったのか?」
リュウの言葉を聞いたリィオスは瞳に輝きが戻り、柔和な笑みを浮かべて宣言する。
「もちろん、助けるとも! リュウ君は長らく待ち望んだ弟子なんだから」
マルコは控えめな表現だが、人情味を感じさせる表情で答えた。
「……まぁ、兄弟子として手を尽くすわな」
「だろ?」
「どうしようもなくなったら、俺らに頼る気だったのか? 仕方ない奴……」
「師匠としては、リュウ君が心を開いてくれたようでとても嬉しいよ!!」
和やかな雰囲気のまま、誰からともなく笑いだす。
貴族派の文官が渋面を浮かべて小言を言いに来るまで、螺旋階段には3人の笑い声が木霊しているのだった。
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