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ガチャ45 恩賞授与

 シュバルツはオズワルドの内心に気がつきながらも、気遣うように振る舞いつつ退席を命ずる。

 

「体調が優れないようだな? オズワルド卿。……退席して、休むがよい。公務に支障をきたしてはいけないからな」


「し、失礼させて頂きますぞ……」


「許可する」


 謁見の間からオズワルド卿はこのような事態の元凶となったリュウをきつく睨みつつ、足早に出て行くのだった。

 シュバルツはオズワルド卿のような考え方の貴族が未だに多くいることに頭を悩ませていたが、つまらなそうにしている若き英雄が視界に入り、意識を戻していく。


「見苦しい所を見せて済まなかったな」


「気にしていない。どこの国にも、ああいう奴はいるもんだ」


 リュウは肩を竦めていた。


「フッフッフ。リュウは本当に歯に衣を着せぬな。もう少し語らいたいところだが、君の発言は皆にとって刺激が強すぎるようだ。

 功績に対する恩賞の受け渡しを行った後、私の部屋でリュウの冒険譚をゆっくりと聞かせてくれないか?」


 そう言いながら、シュバルツは横目で臣下達を見回す。

 しかし、貴族派の臣下達はシュバルツと目を合わせないように視線を外していた。

 リュウは貴族社会というのは窮屈そうだと感じつつ、シュバルツに返事をする。 


「……悪いが断る。俺はさっさと修業の旅に出たいんでな」


「そうか。残念だ。ただ、先ほどは質問に答えると言っただろう? ゴブリンキング亜種とオーガの群れをどうやって倒したのかくらいは教えてくれないか」


「ゴブリンキング亜種は門番のポールに預けた魔剣で倒した。どうやら、成体ではなかったらしくてな。本来のランクより随分と下の実力しかなかったんだろう。

 オーガの群れは、リィオスとの修業で修得した魔法で遠距離から圧倒した」


「なんと! ゴブリンキング亜種を剣で打ち倒す腕がありながら、オーガの群れを倒す威力のある魔法も使いこなすというのか! 魔法を修得するまでの期間も常人では考えられないほどの早さ。流石はリィオスが弟子に取るだけの男だ。魔法戦士と呼ぶに相応しい! 属性は……」


 シュバルツはモノクルを掛け直し、初めて勇者物語を呼んだ少年のような顔でリュウに修得した魔法の属性を聞こうとした。

 しかし、リュウは目を閉じ軽く首を横に振る。


「……黙秘させてもらおう。俺は全てを明かして生き抜けるほどの強さを、まだ持ってないからな」


 冒険者としては当然の回答。ただし、王の質問という点を除けばの話だ。

 リュウは肝が据わっている。シュバルツをはじめ、リィオス、マルコもそう感じていた。

 シュバルツは友の意見を尊重すべきと思い、話題をシフトしていく。


「……もっと、聞きたいところだが、これ以上の詮索は無粋か。話の続きができる日を楽しみに待つとしよう。

 話は変わるが、リュウはオーガを討伐した直後だというのに、もう修業に出るのか。今は帝国との関係もある。力のある冒険者の居場所は把握しておきたい。

 どこへ行くのだ?」


 シュバルツの質問にどう答えるべきか悩むリュウ。


(素直に言ってもいいか? しかし、王国も一枚岩ではないようだ。何処から情報が洩れるかもわからないしな……。行先は決めていないが王国を回るとでも言って誤魔化しておくか。というか、リィオスは何処まで話しているんだ? 飛龍の巣に行くと知っていたらこんな話題を出さないだろう)


 リュウが瞬時に考えを巡らせている間に、リィオスが臣下の礼をとりつつ割って入ってきた。


「話に割り込むことをお許しください。シュバルツ様。

 リュウには剣と魔法を同時に扱う真の魔法戦士になってもらうべく"魔の領域"へと向かわせます」


 リュウはリィオスの言葉に困惑していた。


(どういうつもりだ? まさか……)


 そんなリュウをよそに、違和感なくリィオスとシュバルツの会話が続いていく。


「ほう。大陸西側の未開地帯か……。猛獣や強力なモンスターが多く、魔界の入り口が封印されているという眉唾ものの伝説が残された領域だったな」


「ええ。過酷ですが、リュウならばやり遂げ、私に並ぶ魔法戦士として王国に戻ってきてくれるでしょう」


「フッフッフ。それは頼もしい」


 シュバルツとリィオスは会話をしながら、不自然にならないように視線を臣下達に送っていた。

 リュウはそんな様子を見て、疑問が確信に変わった。

 

(この中に、帝国への内通者がいる可能性が高いんだな。だから、こんな芝居をしてるのか)


 どうやら芝居していることに気がついた上でポーカーフェイスを保っているリュウを見て、シュバルツは思わずニヤリとしそうになるのを堪えつつ臣下達を盗み見ている。

 リィオスと打ち合わせていた話を終えても、内通者は気取られるようなヘマはしていないようで、シュバルツにはとうとう違和感を感じ取ることができなかった。

 

それはリィオスも同様のようで、アイコンタクトでダメだったと伝えてきた。

 

 シュバルツはこれ以上探りを入れると内通者がこちらの思惑に気がついてしまうと感じ、恩賞の授与を始めることにした。


「若き英雄が修業の末に大成することを祈っている。では、そろそろ恩賞の授与を行うとしよう。リュウよ。玉座まで登ってこい。」


 リュウは細い階段を昇り、立ち上がっているシュバルツの前へ移動した。横から銀のトレーを持ったメイドらしき女がやってくる。

 シュバルツはトレーごと受け取って、リュウへと向き直った。


「大量のゴブリンを率いたゴブリンキング亜種とオーガ10体の群れの討伐を成した若き英雄である魔法戦士リュウに対し、王国として感謝の意を示すため、恩賞として金貨20枚を与える」


「ありがたく貰っておく」


 トレーを右手で受け取ったリュウは左手で金貨を掴み、マジックポーチへ手をいれ、グリードムントの指環を起動。強欲な口を意味する指環が金貨を瞬時に飲み込んでいく。数回繰り返し、空になったトレーをメイドらしき女に返した。

 

 収納を終えたリュウに、シュバルツが謁見の終わりを告げるため声をかける。 


「魔法戦士リュウよ。今後の活躍に期待している。では、退出してよいぞ」


 左胸に右手を添え臣下の礼を取った後、リュウは不敵に笑って、シュバルツに背を向け謁見の間を後にするのだった。

ハッピーバレンタイン! 記念投稿


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