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ガチャ44 シュバルツ・リーデンブルグ流

「シュバルツ。謝罪と礼は受け取ろう」


 リュウは王国のトップであるシュバルツに対しても傲岸不遜に言い切った。

 その瞬間、貴族派と呼ばれる臣下達は鋭い目つきでリュウを睨む。

 しかし、シュバルツは満更でもないどころか、上機嫌に笑っていた。 


「フッフッフッ。ここまでくると、いっそ清々しいな。笑えてくる。君とはよき友になれそうだ。特別に、呼び捨てすることを許可しよう」


「許可が無くても、勝手に呼び捨てにしていたがな。だか、俺もお前のことは気に入った。特に住む場所なんて決めていなかったが……。シュバルツが治めている間は、王国を拠点にしてもいいかもな」


「握れ。友諠ゆうぎの証だ」


 リュウは出されたシュバルツの手を握り返し、不敵な笑みを漏らしている。

 

 貴族派に限らず、臣下達はあまりの展開に目を見開き言葉を失っていた。だが、シュバルツとリュウが手を握り、シュバルツが平民で冒険者という身分の低い者を『友』と公式の場で宣言したところで、正気に戻り、唾を飛ばす勢いで、揃って抗議しだす。


「「「国王様、いくらなんでもそれは!!」」」


「私が気に入ったのだ。友になる理由など、それで十分だろう?」


 シュバルツが王に即位してから、王国は武官、文官ともに能力ある者を登用するようになっていた。ここ数年で、随分と平民が騎士になったり、政務に携わってくるようになってはいる。その分、階級制度に慣れ切った貴族からは批判を浴びることが多い。

 しかし、騎士団は帝国軍の数には劣るが質では勝ると言われるほどになり、税収も安定。国力が増して国民からも高く評価されている。

 もちろん貴族を排斥しているわけではない。教養を持ち、部隊の指揮や領地経営の経験が豊富で、統治能力が優れている貴族は重宝されており、王国の要職には有能な貴族が多く登用されている。

 反発している貴族は、制度に甘んじて努力を怠っていた者達ばかりであった。

 

 『能力のある者には相応の評価と報酬を与えるべきだ。平民か貴族かは関係ない』と常に言ってまわるシュバルツであるから、王国の窮地を救ったリュウを高く評価するのはおかしいことではない。

 平民でも人格に優れていれば友とするということも、シュバルツの性格を考慮すればありえることであった。

 臣下だけでなく、多くの国民もそう思うことだろう。

 

 しかし、それは公式の場でなければの話だ。


 貴族派のトップで公爵でもある50代後半の男が、不服そうな顔を隠しもせず声を張り上げる。


「国の王なれば友もそれに相応しい格が必要ですぞ! このような無礼者が友だと諸外国に知れたら、我らが王国の威光が失墜してしまいます!」


 シュバルツは贅肉を腹にたっぷりと含んでいる男を睨む。

 無能だが王家の血を継いているが故に公爵としての権力を持ち、贅の極みを尽くす。そのような男を、野放しにせざるを得ない。これこそが王国の問題だとシュバルツは感じていた。


「……オズワルド卿か。リィオスが王都守護隊の隊長に就任した時も喚いていたな。

 人の価値を決めるのは、言葉使いでも身分でもない。心の有り様だ。

 リュウは正しいと感じたことを誰が相手でも臆することなく伝えられる、芯の通った青年。

 変化が求められている王国にとって、リュウのような人材が必要になってくるだろう。

 少なくとも、私はそう考えている」


 オズワルドは王の話をまともに聞こうとせず、主張を繰り返そうとする。 


「リュウとやらは、ただ横柄な態度で、好き放題に喋っただけではりませんか! やはり、冒険者などはごみ溜めの集まりなのです!

 国王様、ここにいる下賎な輩を友と言ったことは撤回して下され。こやつは不敬罪で牢屋にでも閉じ込めるべき、野蛮人ですぞ!」


「……そこのあんた。少し黙れ」


 静観していたリュウ。だが、面と向かって何度もバカにされて怒りのボルテージが上がっていた。ポーカーフェイスはそのままに、怒りは無属性の魔光圧気エーテルグラストとなって放出される。

 

 魔力を持たないものにも伝わる強大なプレッシャー。オズワルドをはじめとする臣下達は銀髪の青年から発生している圧力におののいていた。


 一方でリィオスは瞬時に無属性の魔光圧気エーテルグラストを放てたリュウのセンスに舌を巻き、マルコはまた面倒事がはじまり頭を抱え、シュバルツはリュウが本物の実力者であることを肌で感じることができて満足しているのだった。


 シュバルツは委縮しているオズワルドへ通告する。


「いくら卿が公爵と言えども、私の交友関係にまで介入する権利はない。リュウは既に我が友である。これ以上、我が友を公然と侮辱し、騒ぎ立てるようならば相応の覚悟をしてもらうぞ? オズワルド卿」


「くっ……」


 もっともな言い分に反論できず口をつぐむオズワルド。


(なぜ、私が罰を受ける話になってしまうのだ! 由緒正しきオズワルド公爵家の当主。選ばれし者なのだぞ!! 平民で冒険者などという最下等な人種に向かって頭を下げさせられたことだけでも屈辱極まりなかったというのに……。

 本当に、この若造が王になってからろくなことがない! 先代はまだ理解のある王だった。そもそも平民なぞ貴族という上位者の奴隷のようなも……)


 オズワルドは沈黙したまま渋面を浮かべ、思考を纏めることもできず、顔を赤くしたり青くして歯ぎしりをしていた。

お読み頂きありがとうございます。


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