ガチャ39 オーガ解体依頼と報告
自然と二人は見つめあい、もう一度濃厚な口づけを交わす。
情熱的なキスは二人の芯を熱く燃え上がらせるのだった。
▽
情熱的なキスを終えたリュウは余韻に浸るダリアにオーガ討伐の件を話そうと声をかける。
「……ダリア。仕事の話に戻すぞ」
「続きはまた今度、期待してるわ。
それで、話っていうのはオーガ討伐の件よね。何があったのかしら?」
気分を切り替えて受付嬢としての表情に戻ったダリアに、リュウは自分の体験したことを伝えていく。
オーガが10体に増えており、集団で動いていたこと。
オーガを殲滅した後、帝国側から突如出現した強者『灰色づくめの男』に殺されかけたこと。
なんとか命からがら逃げ延びたこと。
リィオスとの話の中で恐らく、灰色づくめの男が帝国の手練れと言われる人物であるという結論に至ったこと。
命を狙われることになるため、修行の旅に出ざるを得ないということ。
リュウはそららのことを掻い摘んで説明していった。
「そんなことになってたなんて知らなかったわ。生きて帰ってきてくれて、本当によかった。でも、修行の旅に行ったらしばらくは会えないのね……」
「すぐに強くなって帰ってくるから待っててくれ」
「絶対、生きて帰ってくるのよ? 無茶な修行で死んだりしたら、一生許さないわ」
「それは、怖いな。善処するよ」
「もう。仕方ない人ね。
じゃあ、そろそろギルドマスター呼んでくるわ」
ブラウスのボタンを留め魅惑の谷間を隠しきったダリアは立ち上がり、リュウに一声かけた後、ギルドマスターを呼びに行った。
ーー数分後
強面の中年男性がダリアとともに個室へと入ってくる。
Aランクの実力者で、ギルドマスターでもあるジョセフはリュウを見るなり、興奮しながら話しかけた。
「リュウ。オーガが10体もいたのを1人で討伐したとか、リィオスが城門を守護した時に追い払った敵と戦闘になってワープで逃げ帰ってきたいうのは本当か?」
「ああ。どっちも本当だ」
リュウはジョセフの声の大きさに眉を潜めながら答えた。
「そうか……。国王様にはオーガ討伐完了の報告に合わせて、灰色尽くめの男について伝えなければならないな」
ジョセフは帝国との先端が開かれることが近づいてきたような予感がして、厳しい顔つきになっていた。
リュウはリィオスも昨夜同じようなことを言っていたということを思い出していた。
「その件は、恐らくだが、既にリィオスが国王に報告していると思うぞ」
「……何? リィオスが即座に動くほどの相手だっていうのか」
ジョセフにとって基本的にリィオスはのんびりとしている印象が強い。
そんなリィオスが即応するような相手である帝国の手練れ。予想以上に手強い人物であるに違いない。
ジョセフは灰色尽くめの男への警戒度をさらに引き上げた。
「リィオスによれば、Aランク以上Sランク未満の凄腕ということらしい。
だが、安心しろ。灰色尽くめの男は俺が仕留める。お前らは俺が修業に行っている間だけ、王国を守り切ってくれればそれでいい。
……くれぐれも、横取りするなよ?」
リュウは静かに闘志を燃やしながら、ジョセフに言い放つ。
「打てる手は打たせてもらうぞ。
そもそも、リュウはそいつに一度負けているんだろう? お前だけに任せるわけにもいかないな。
そんなに獲物を取られたくなかったら、さっさと強くなってこい」
ジョセフはリュウを軽く挑発しながら、何処かで期待している自分がいることに気がついていた。
登録して1か月も経たないルーキーが、遂には集団で行動するオーガの群れをも倒してしまったのだ。
リュウだったら、もしかしたら本当に帝国の手練れを打ち破ってしまうのかもしれない。
ジョセフはそう感じながらも、立場上、現状では戦力外であるリュウに全てを任せるなどということはできないと考え直し、声をかけるべき冒険者達を脳内でピックアップを始めていた。
「言われなくても、そうするさ」
リュウは鼻を鳴らし、ポーカーフェイスのまま返事をした。
「ところで、ジョセフ。オーガ討伐の報酬と素材の買い取りをしてもらいたいんだが、頼めるか?」
「そりゃあ、冒険者ギルドだから当然だろう? じゃあ、一応討伐証明部位を出してくれるか」
ジョセフの言葉を聞いて、リュウはグリードムントの指環を起動し、オーガの頭をつかんで上半身のみ軽く引き上げた。
「何処が討伐証明部位かわからなかったしな。面倒だから死体ごと持って来たぞ」
「これは、空間魔法? いや、その指環か! アイテムボックスの効果を持つマジックアイテムとはたまげたな!!」
「……リュウ。貴方って本当にいつもいつも驚かせてくれるわね!」
オーガほどの大きさともなれば最高級のマジックバックが必要であり、大きさも相応の物になる。しかし、リュウが使って見せたグリードムントの指環は、収容量も出し入れ可能な大きさの制限もないという規格外の代物であった。
国宝級のマジックアイテムであるグリードムントの指環を見て、驚愕するジョセフとダリアを気にすることなく、リュウは話を続けていく。
「10体分あるから、解体室に直接行って、全て出してしまいたいんだが、可能か?」
「あ、ああ。今から手配する。ちょっと待ってろ。
おい、ダリア。解体室にオーガ10体分の死体を運ぶから準備するよう伝えてきてくれ」
「わかりました。リュウ、いってくるわね?」
ダリアはリュウへとウインクをし、ミニスカートを翻しながら解体室へと向かって行った。
▽
程なくして戻って来たダリアは、解体室の準備が整ったことをジョセフとリュウに伝えて受付へと戻って行った。
「じゃあ、行くか。リュウ、着いて来いよ」
ジョセフはリュウを先導して冒険者ギルド1階の奥にある解体室へと移動する。
解体室の中は様々なモンスターの肉や皮が加工されて並んでおり、素材にならないような部位は纏めて隅に寄せてあった。
血生臭さと解体する職員たちの汗が混じり、独特の異臭が解体室に充満している。
「……臭うな」
リュウは鼻が曲がるような臭いに顔をしかめている。
「仕方ないだろ? 室内でやってんだ。その内、鼻が麻痺するから気にならなくなる」
ジョセフは当たり前のことだというように憮然とした表情のまま、大きめの金属製の解体台が並ぶ場所を指し示し、リュウへと声をかける。
「あの辺の解体台に適当に並べてくれ」
「わかった」
リュウは体長2メートル以上あるオーガの死体をグリードムントの指環から取り出し、無機質な解体台へ次々と並べていった。
「ええ、何処から出したんだ!?」
「伝説の空間魔法?」
「よく見ろ、左手に着けてる指環の辺りに次元境界線らしきものが見えるぞ……」
「マジックアイテムか! 国宝級どころか伝説級じゃないか!?」
解体作業の手を止め、職員達は口々にグリードムントの指環からオーガを出すリュウに釘付けとなっていた。
ジョセフは自分も先ほど驚愕して呆然としたことを忘れて、機嫌悪そうに眉を吊り上げる。
「お前ら! ボーッとしてないで解体を始めろ!」
職員たちはジョセフの叱責を受けて各々の作業に戻っていく。
そうこうしている内に、解体台の上にはリュウの出したオーガ10体分の死体が並んでいた。
「……よし。ジョセフ、解体が終わったら呼んでくれ。俺はギルドの待機スペースでゆっくり待たせてもらう」
「わかった。解体が済んだら声をかける」
リュウは解体室を出て、冒険者ギルドの待機スペースへ向かった。
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