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ガチャ15 ガチャを回したら王都へ戻ろう

 日本円にして1000万円。祈るような顔で金貨10枚分の100万GPガチャポイントを対価にキャンペーン限定スキルガチャを回したリュウは、結果を確かめるために、恐る恐るスマートフォンの画面に目を移す。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


残りGP500,000 


NO ITEM.NO LIFE.キャンペーン


※キャンペーン限定ガチャはランクA以上確定!!


キャンペーン限定! スペシャルスキルガチャ

※初回のみ1,000,000


1  ランクSS:刻印


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(……よおおしっ!! ランクSSのスキルか! とにかく確認だ!!)


刻印

 獲得したモノにの魔力紋を刻印できる。刻印したモノの位置はどれ程離れていても把握できる。刻印主の許可なくモノに触れようとすると刻印に込められたMPを消費して魔力障壁が展開される。スキルlvが上がると刻印したモノに込められる魔力量が増える。


(刻印か! 今後もレアガチャを回して行けばレアなアイテムや武器なんかが出てくるだろうし、必ず目をつけられてしまうはず。魔力障壁のおかげで盗まれにくいし、盗まれても場所がわかるっていうのは助かるな!

 でもなぁ。これでランクSSていうのはどうなんだ? 何か理由があるはずだろうが……。わからんな)


 疑問に感じる点があるものの、有用なスキルを手に入れたことに変わりはない。ランクSSという希少なスキルが手に入ったことを少年のように喜んでいると、森の入り口の方が騒がしいことに気がつく。

 

 リュウが追い抜いてきた低ランク冒険者達がようやく到着したのだ。リュウはゴブリンキング亜種の死体を担ぎ上げ、森の入り口へと向かう。


「おいおい! ゴブリンの死体ばっかりだぞ!」


「耳も魔石も採らずに進むなんてもったいねぇよなぁ」


「だがよ、こんだけのゴブリンに囲まれたら剥ぎ取る余裕なんてないだろ? 俺達が有効利用してやろうぜ」

 

「がはは。そうだな。そうしよう!」


 リュウは冷めた目付きでやり取りを聞きながら、ゴブリンキング亜種の死体を茂みの中に隠してから、低ランク冒険者の男2人組に警告した。


「おいっ! そこに倒れてるゴブリンどもは全部俺が仕留めたんだ。横取りするなよ。先輩方?」


「……はぁ? お前が仕留めただと? 笑わせるんじゃねぇ!」


「まったくだ! 嘘つくならもう少しマシな嘘つけよ。ドナルに勝ったルーキーでも、たった1人でこれだけの数のゴブリンを倒せるわけないだろが!」

 

「冒険者の先輩ってのはドナルのようなバカしかいないのか? 俺が仕留めたと言っているんだ。

 勝手に他人が倒したモンスターから討伐部位と魔石を採るのは犯罪だなんて、子どもでもわかるんじゃないのか?」


「……言わせておけばこのガキ! おいっ!!」


「おう!」


 リュウの神経を逆撫でする言葉を聞いて我慢できなくなった男達は剣を抜こうと殺気だつ。

 

 男達の手が剣の柄を握った瞬間、リュウはフレイムタンを抜き放った。


 紅の刃が男達の目の前の空間を鋭く斬り裂く。


「ヒッ!」


「おわっ!」


 間抜けな声を出す男達にリュウが威圧的な態度で語りかける。

 

「……妙な動きをしたら当てる。口答えをしても当てる。わかったらさっさと武器を捨てろ」


「う、うるせぇ!」


「ばっ! 勝てねぇだろ! やめとけって!!」


「お前は黙ってろ! このヤロ……ぐあああああああ!!」


 仲間の制止を降りきり再びリュウに一太刀浴びせようとした男がリュウのいる方へと足を一歩踏み出した瞬間、前に出した左足の甲を分厚い革のブーツごとフレイムタンで地面に縫い止められて悲鳴をあげた。


「先輩、少しでも敵意を感じたら、次は腕を貰うぞ?」


 左足から伝わる痛みと、リュウの凍てつくような視線に恐怖し、男は首を何度も縦に降っている。

 間近で見ていたもう1人の男は青ざめており、震えながら剣を手放した。


「そう。大人しくしているなら悪いようにはしないさ。……そうだな。お前達には俺が倒したゴブリンの魔石と耳を残らず採取してきてもらおうか。そうしたら、許してやるよ」


「わかった! わかったから! 早く剣を抜いてくれぇぇ!!」


「……ほら」


「ぐうぅ。お、おい。さっさと集めちまおうぜ」


「お、おう」


 フレイムタンを引き抜かれて血が出ている所を慌てて応急処置した男は冷徹な瞳から少しでも早く逃れようと相棒の男に声をかける。

 2人ともリュックからナイフを取り出し、周囲のゴブリンの死体から魔石と耳を片っ端から剥ぎ取って袋へ入れていった。


「これで、全部終わったはずだ……」


 20分ほどで採取を終えた男達。未だに青い顔をした男がリュウの足元に採取した魔石と耳の入った袋を置いた。


「……も、もう、いいよな?」


「ああ。充分だ。帰って良いぞ」


 リュウの言葉を聞いた男達が慌てて荷物を持って逃げるように走り出す。


「……次は無いからな」


 リュウの呟きに男達は肩を震わせ、速度を上げて走り去っていった。


(とりあえず、魔石と耳の回収も終わったな。落ち着いて過ごせる場所で刻印を試したいし、今回の報酬も欲しい。帰るか)


 男達が回収したゴブリンの魔石と耳をマジックポーチに流し込み、茂みの中に隠したゴブリンキングを担ぎ上げ、リュウは王都へ向かって行った。


 ◆◆◆


 全ての敵を跳ね返してきた無敵の城壁で守られている王都レーヴォリ。堅牢な城塞の中に入るための城門では怪しい者が入ってこないように腕利きの兵士達が配置されている。

 昨日と同じ2人の兵士が今日も王都へ入ろうとするものの身分証を確認していた。


「……そういえば、ゴブリンハートを持ってきた彼、今日は森の方へ向かっていったな。森ではゴブリンが異常に増えているらしけど、またゴブリンハートでも取りに行ったのかな?」


 リュウの対応をした爽やかな雰囲気を醸し出す金髪の兵士が黒髪の兵士に尋ねた。


「んー。リィオスさん、そんなにリュウってやつのこと気に入ったんですか? ゴブリンハートを持ってきたのなんて偶然でしょ? 俺には貴族の金持ち坊っちゃんが格好だけ整えて、調子に乗って冒険者の真似ごとをしてるようにしか見えなかったなぁ」


 黒髪の兵士は武骨な顔をしかめさせ、思ったことをそのまま口にする。

 

「マルコ君、甘いよ」


「いやいや、断罪の水晶で見たステータスも大したことなかったですし、リィオスさんが考えすぎなんですって!」


「あれは、全ての情報が読みとれるわけではないのは知っているだろう? スキルや魔法、加護は読み取れない。それに基本ステータスは具体的な数字ではなくランク表示だからね。目安にはなるけど、それだけさ」


「そうですけど。でも、いくら幸運が前代未聞の最高評価ランクSだからって、他がゴブリンに毛が生えた程度のステータスじゃあどうにもならんでしょ? リィオスさんほどの人が惚れ込むほどの素質なんて、あるかなぁ」

 

「確かにね。でも、私の勘が言っているんだ。彼はいずれ大物になるってね」


「そうですか。リィオスさんの勘、よく当たりますけど今回は外れだと思うなぁ」


「ハハハ。そうかもしれないね」


 リュウについて話をしている途中、深緑の森の方角から冒険者らしき2人の男が青ざめた顔で走り続けてきている姿がリィオスとマルコの目に留まる。

 息も絶え絶えにようやく門にたどり着いた冒険者達は城門の前で座り込んで荒い呼吸のまま突っ伏している。


「君たち、森の方角から来たね。……この怪我は剣で刺されたものだね。いったい何があったというんだい?」


「……あいつだよ。ドナルに勝ったルーキーにやられたんだ」


「ドナルに勝ったルーキー?」


 甲に深く切れ込みが入った革のブーツを履いている男は己に傷をつけた相手を思いだして震えた。


「……リ、リュウってやつだよ」


(ドナル君か。確かDランク冒険者のはず。彼がドナル君に勝ったのか。それより…)


「どうして戦うことになったのかな?」


 怪我をしていないのに青ざめた表情をしている男がうつむいたまま話し出す。


「……森の中に入ったら大量のゴブリンの死体があったんだよ。数は10や20どころじゃなかった。近くに冒険者がいなかったから、もう死んだのか、素材をいらないやつが残していったのかどっちかだと俺達は思ったんだ。

 それで、魔石や耳を回収しようとしたんだ。そこにリュウが来たんだ。俺が仕留めたんだから勝手に持っていくなってな」


 相棒の男が話す内容を聞いていて怒れてきた男が割り込んで叫ぶ。


「あ、あいつはよう。俺達のことをバカにしやがってよぉ! だいたい、100体分は死体があったんだぞ! 1人であんなにも倒せるわけないだろうが!! ムカついたからちょっと躾てやろうとしたら、返り討ちになったんだよ。クソッ!」


「なるほどね。素材の剥ぎ取りは早い者勝ち。でも、こういうトラブルはよくあることだよ。高ランク冒険者なんかは弱いモンスターの素材剥ぎ取りを後回しにすることも多い。

 今回は自業自得だね。次からは自分達が仕留めたモンスターから剥ぎ取るようにした方が良いよ」


「う、うるせぇ! わかってらぁ! 畜生(ちくしょう)っ! もういいだろ? 中に入りてぇんだからどけよ!!」


 門を潜ろうとする冒険者達の前に、マルコが巨体を割り込ませて呼び止めた。


「おっと、その前にギルドカードを見せてから、この水晶に手を置いてくれ。……そうだ。よし。もう行っても良いぞ」


 マルコから入都の許可を得た冒険者達は慌ただしく王都の中へ入っていった。


「リィオスさん。ゴブリンの異常発生の件、不味いことになってますよ」


「そうだね。数があまりにも多すぎる。短期間で増えているし、ゴブリンキングが産まれた可能性もある。騎士団の派遣を急がせるように伝えた方が良い。マルコ君、頼むよ」


「わかりました」


 マルコは王都の中心にある王城へと足早に走って行った。


(ゴブリンキングが出たとすれば対応を急ぐべき。私が行けたら話は早いんだけど、城門を放っておくわけにもいかないしね。後は騎士団にまかせよう。

 それにしても、リュウ君が彼らを2人同時に相手をして勝ったのも、ドナル君に勝てたことも予想以上だよ。昨日の断罪の水晶で読み取れたステータス評価は、もう当てにならないね。

 ゴブリンの異常発生の件が終わったら、ちょっとリュウ君に時間を作ってもらって、私の元でしばらく修行をしないかと提案してみようか! 英雄は1日にしてならず。早く磨きあげたいね!)


 リィオスが考え込んでいると、森の方角から男がまた1人、歩いてきていた。


 高級そうな艶やかな黒革レザーのジャケットとボトムを身につけ、肩に緑色の物体を担いで運んでいる。

 その男は銀髪を揺らしながらゆっくりと城門へと近づいてきた。

 男の精悍な顔つきが見えた頃、肩に乗っている物体が大型のゴブリンだとわかり、リィオスは思わず声を上げる。


「リュウ君! それ、ゴブリンキングじゃないか!?」

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