甘味漫遊記5:千夜の月見団子日記
甘味漫遊記:千夜の月見団子日記(夜閑話)
今日は月見坂で「月見団子」を食べました。白く丸い団子が三つ並んでいて、まるで夜空に浮かぶ三日月と星を手のひらに乗せているようでした。口に入れるとやさしいもちもち感と淡い甘さが広がり、心がふわっと安らぎました。夜の空気と重なって、まるで月そのものを味わっているような気持ちになりました。
町の人たちはこの団子を「願いの団子」と呼んでいて、食べると心が澄み、月に願いを届けられるんだそうです。お店のおばあさんも「これを食べると、夜空を見上げたくなるよ」と笑っていました。確かに、団子を味わいながら夜空を見上げると、月の光が一層やさしく感じられました。
月見坂は夜になると人通りが少なく、石畳に月明かりが降り注ぎ、旗が風に揺れる音だけが響いていました。そんな中で食べる月見団子は、まるで町全体が「おやすみ」と囁いているようで、心がすっと落ち着いていきました。
……でも、気づけば風音が果実ゼリーを片手にこちらを見ていて、「交換しよう」と言われてしまいました。私は月見団子を半分渡して、代わりに星果ゼリーを受け取ることに。月見団子の静けさと星果ゼリーの華やかさが重なって、夜の広場に不思議な調和が生まれました。日記には「月見団子、半分は風音の星果ゼリーと交換」と書いておこうかな。少し不思議だけど、こうして分け合うのもまた願いの形なのかもしれません。
夜はさらに深まり、広場は静けさを増していきます。旗は月光を受けて揺れ続け、町の安心を見守っていました。月見団子の甘さは、夜の余韻とともに心に残り、未来へと続く道を静かに照らしているようでした。




