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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
2章

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ep.45 世界樹の守護者

湖に辿り着いたとき、一行は息を呑んだ。 町で聞いた噂では「湖のほとりに風が舞う」とだけ伝えられていた。だが、そこにあったのはただの湖ではなかった。湖の中央に立つ巨大な樹――天を突くほどの高さを誇り、枝葉は風と光を受けて揺れ、まるで世界そのものを抱いているかのようだった。


「……あれは」果林が酒瓶を抱えたまま呟く。 「湖だけじゃないのです。大きな樹なのです!」咲姫が目を輝かせる。 紗綾は札帳を開き、筆を走らせた。 「風の記録:湖のほとり。問い――湖はただの水か、世界樹の根か。記録者・紗綾」


そのとき、森の奥から影が現れた。長い耳を持ち、弓を携えた者たち――エルフ。彼らは静かに歩み寄り、湖のほとりに立った。


男エルフが一歩前に出る。 「我らは森の守護者。それは仮初の名であり、真名は世界樹の守護者」 その声は森と湖を貫くように響いた。


女エルフが続ける。 「ここ200年、風を乱さぬ試練を越えたものはいなかった」 そして男エルフは告げた。 「試練を越えたものを、我らは迎えよう」


果林は笑みを浮かべ、酒瓶を掲げる。 「200年ぶりってことは、俺たちが久しぶりの客ってわけだね」


エルフたちは名を明かした。 リーダーの男エルフは スィルヴァン(Sylvan)。冷静沈着な弓士であり、世界樹を守る責任を背負っている。 副官の女エルフは ゼフィラ(Zephira)。厳格な弓士で、仲間を思う心は深い。 若い女エルフは 涼羽すずは。柔らかな雰囲気を持ち、旅人に共感しやすい。 もう一人の女エルフは 風音かざね。樹魔士であり、世界樹の力を感じ取る巫女的存在。 そして戦士の男エルフは ヴァイレル(Vairel)。豪胆で力強く、守護者としての誇りを持つ。


スィルヴァンは一行を見渡し、静かに言った。 「試練を越えた者たちよ。湖のほとりは、そなたらの本拠となるにふさわしい。だが、我ら全てが同行するわけではない」


ゼフィラが続ける。 「世界樹を守る者は残らねばならない。だが、涼羽と風音は旅に同行するだろう」


涼羽は一歩前に出て、柔らかな声で言った。 「旅人の心に共感しました。共に歩みたいと思います」


風音は世界樹に手を触れ、静かに頷いた。 「樹の力は湖を越えて広がります。旅に加わり、風と地の魔法を分かち合いましょう」


ヴァイレルは豪快に笑った。 「俺はここに残る。だが、湖を守る誇りを持ちながら、お前たちの旅を見届けよう」


果林は酒瓶を掲げ、笑みを浮かべる。 「仲間が増えるってことは、旅がさらに賑やかになるってことだね」


紗綾は札帳に記した。 「風の記録:世界樹の守護者。問い――守る者と旅する者、その境界はどこにあるのか。記録者・紗綾」


湖のほとりに風が舞い、世界樹の枝葉が揺れる。 200年ぶりに試練を越えた者たちが、守護者に迎えられた瞬間だった。


【後書き】

こんばんは、涼羽です。 私は世界樹の守護者の一人でした。けれど、旅人たちの心に触れて、共に歩みたいと思いました。


風音さんも同行してくれることになりました。樹の力を分かち合いながら、旅を続けます。 スィルヴァン様、ゼフィラ様、ヴァイレル様は世界樹を守り続けます。


湖のほとりは、風が舞い、光が揺れる場所でした。 ここから、旅は新しい仲間と共に続いていきます。

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