閑話:果林、うささまの神社を発見する~500UA記念回(なろう)
閑話:果林、うささまの神社を発見する
――団子と祠と、耳ぴょこぴょこ。
果林は、山道を歩いていた。 咲姫に頼まれた薬草を探していたはずが、気づけば見知らぬ小道に迷い込んでいた。
「……あれ?」
木々の間に、ぽつんと小さな祠が建っていた。 屋根は苔むしているが、どこか新しい。 そして、前には――
「……団子?」
みたらし団子の串が、きれいに三本、供えられていた。 その横には、手書きの札が立っている。
『団子奉納所 うささま神社(仮)』
果林は、そっとため息をついた。
「……やっぱり、やると思った」
そのとき、背後から声がした。
「ようこそ、うささま神社へ」
「出たな、団子の神」
「神なので」
「その理屈、もう聞き飽きたわよ」
「でも、団子は飽きません」
果林は祠の中を覗き込んだ。 中には、団子の串が整然と並べられ、奥には“耳ぴょこぴょこ守”と書かれたお守りが吊るされていた。
「……これ、誰が作ったの?」
「咲姫です」
「えっ」
「“神格化には形が必要なのです”と言って、作ってくれました」
「咲姫、ノリノリじゃない……」
そのとき、咲姫が現れた。
「果林さん、見つけたのですね。うささま神社(仮)を」
「“仮”ってついてるのに、やたら完成度高いんだけど」
「まだ正式登録されていないので、“仮”なのです」
「登録って、どこに?」
「神々の会議に、なのです」
果林は頭を抱えた。
「……あんたたち、何やってんのよ」
「神なので」
「咲姫、止めなさいよ」
「咲姫は、観察しているだけなのです」
「観察ってレベルじゃないでしょ!」
うささまは、団子を一口かじって、耳をぴょこぴょこさせた。
「ん~~~~~~~~~~~まい!」
果林は、祠の前にしゃがみこみ、メモ帳を開いた。
『うささま神社(仮):団子奉納所。耳守りあり。咲姫が設計。神格化、進行中。』
「……このままじゃ、本当に神になりそうね」
「神なので」
「まだ仮でしょ!」




