甘味漫遊記4:風音の果実ゼリー日記
今日は果実坂で「星果ゼリー」を食べました。透明なゼリーの中に小さな果実が散りばめられていて、夜空に瞬く星を閉じ込めたような美しさでした。手に取ると光を受けてきらめき、まるで未来への小さな灯りを抱いているようでした。口に入れると果実の甘酸っぱさが広がり、心がぱっと華やぎました。
町の人たちはこのゼリーを「祝祭のゼリー」と呼んでいて、食べると心が明るくなり、誰かと一緒に未来を祝いたくなるんだそうです。お店のお姉さんも「これを食べると、夜でも祭りの気分になるよ」と笑っていました。確かに、ゼリーの甘さと果実の鮮やかさは、夜の広場に小さな祝祭の灯りをともしているようでした。
果実坂は夜になると静かで、昼間の賑わいがすっかり消え、石畳に月明かりが降り注ぎます。旗が風に揺れる音だけが響き、町全体が眠りにつこうとしていました。そんな中で食べる星果ゼリーは、夜の静けさに彩りを添えるようで、心がふわっと温かくなりました。
……でも、気づけば千夜が月影羊羹を片手にこちらを見ていて、「交換しよう」と言われてしまいました。私はゼリーを半分渡して、代わりに月影羊羹を受け取ることに。星果ゼリーの華やかさと月影羊羹の静けさが重なって、夜の広場に不思議な調和が生まれました。日記には「星果ゼリー、半分は千夜の月影羊羹と交換」と書いておこうかな。少し不思議だけど、こうして分け合うのもまた祝祭の形なのかもしれません。
夜はさらに深まり、広場は静けさを増していきます。旗は月光を受けて揺れ続け、町の安心を見守っていました。星果ゼリーの甘さは、夜の余韻とともに心に残り、未来への祝祭を静かに照らしているようでした。




