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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
2章

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ep.40 キャンプファイアー

夜の雪原に焚き火が灯った。 兎風かまくらを抜け出した一行は薪を組み、炎を囲んで座る。 火の揺らぎが雪を照らし、吐息が白く舞った。


果林は酒瓶を掲げ、笑みを浮かべる。 「やっぱり焚き火と酒は、冬の旅のご褒美だね」 咲姫は団子を分け、紗綾は札帳を開いた。


小豆は焚き火の前に座り、静かに言葉を紡ぐ。 「兎神さまから啓示を受けました。世界をめぐり、修行を続けなさい――と。だから私は、この旅に同行します」 その声は厳かでありながら、笑顔に包まれていた。 果林は頷き、酒瓶を抱えたまま言う。 「うささまはお師匠様。なら、君も弟子仲間だね」


木世実は炎を見つめ、舞の拍を刻み始めた。 雪原に響くリズムは、疲れた心を温めるようだった。 「私は……疲れている人を応援したい。多くの人を励ますために、旅を続けたい」 その言葉に悠真は微笑み、焚き火の炎が大きく揺れた。 「それなら、この旅はきっと君の舞にふさわしい場所になる」


焚き火の炎が揺れる中、小豆は啓示を語り、木世実は旅に出る決意を示した。 そのとき、残る三人の仲間たちが口を開いた。


阿留兎は腕を組み、静かに言う。 「……本当に行くのか? 修行の道は厳しいぞ」 けれどその声には、弟子を見守る師のような温かさがあった。


緒兎は拳を握り、焚き火にかざす。 「頑張って来いよ。お前の舞と祈りなら、きっと誰かを救える」 力強い言葉に、木世実は笑顔で頷いた。


兎多は歌を止め、少し寂しげに微笑む。 「……さみしくなるわね。でも、旅の歌は必ず戻ってくるもの。だから安心して行ってらっしゃい」


炎はさらに大きく揺れ、雪原に温かな空気が広がった。 紗綾は札帳に筆を走らせる。 「火の記録:キャンプファイアー。問い――縁は炎のように広がるものか。記録者・紗綾」


笑い声と送り出す言葉が重なり、冬の夜は深く温められた。 それは旅の仲間が増える合図であり、別れの余韻でもあった。


【後書き】

こんばんは、木世実です。 私は「疲れている人を応援したい」と思っています。焚き火の前で舞を刻んだとき、その願いが少し形になったように感じました。


小豆さんは兎神さまから啓示を受けて、旅に出るのは必然だそうです。師弟の縁が広がっていくのを、私もそばで見ていました。


紗綾さんは札帳に「縁は炎のように広がるものか」と残していました。 焚き火の炎のように、私たちの旅も賑やかに広がっていくのでしょう。


冬の旅は、これからさらに賑やかになりそうです。

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