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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
2章

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ep.39 兎巫女の一団との遭遇

雪原を進む旅路の途中、札場の灯りが揺れる頃。 果林たちは、修行中の兎巫女の一団に出会った。


先頭に立つのは兎魔士・阿留兎。落ち着いた声で言う。 「この辺りは夜になると冷え込みが厳しい。村も近くにはない」


小豆は笑顔で駆け寄り、団子を差し出す。 「旅人さん、寒いでしょう? 私たちと一緒に温まりませんか」 その天真爛漫な声に、咲姫は目を丸くし、果林は思わず笑った。


兎楽師・兎多が歌を口ずさむと、雪の静けさに柔らかな音が広がる。 緒兎は腕を組み、力強い足取りで雪を踏みしめる。 木世実は舞の拍を刻み、雪原に灯りのようなリズムを添えた。


やがて雪が強まり、冷気が肌を刺す。 阿留兎は札を掲げ、風と雪を操った。 「兎風かまくら――」 雪が舞い、兎の形を模したかまくらが現れる。 中は不思議なほど暖かく、灯りが柔らかく揺れていた。


果林は酒瓶を掲げ、笑みを浮かべる。 「やっぱり寒い夜には、これが一番だね」 咲姫は団子を分け、紗綾は札帳を開いた。


そのとき、小豆が静かに言った。 「兎神さまから啓示を受けました。世界をめぐり、修行を続けなさい――と」 その声は厳かでありながら、笑顔に包まれていた。 果林は目を細め、酒瓶を抱えたまま頷く。 「……うささまはお師匠様。なら、君も一緒に旅をするんだね」


木世実は舞を止め、焚き火の灯りを見つめた。 「私は……疲れている人を応援したい。多くの人を励ますために、旅を続けたい」 その言葉に、悠真は微笑みを返す。 「それなら、この旅はきっと君の舞にふさわしい場所になる」


紗綾は札帳に筆を走らせる。 「風の記録:兎巫女の一団との遭遇。問い――縁は一夜のものか、旅のものか。記録者・紗綾」


雪の夜、兎風かまくらの中で笑い声が重なった。 それは冬の旅の始まりを告げる音であり、次の夜へと続く合図でもあった。


【後書き】

こんばんは、小豆です。 兎神さまから啓示を受けて、私は旅に出ることになりました。世界をめぐり、修行を続けるのは必然なのだと思います。師弟の縁が広がっていくのを感じました。


木世実さんは「疲れている人を応援したい」と言っていました。旅を続けることで、その願いが叶うのかもしれません。 紗綾さんは札帳に「縁は一夜のものか、旅のものか」と残していました。


次は焚き火を囲む夜――キャンプファイアーです。

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