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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
2章

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ep.38 兎とは!?

雪原に足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。 白い吐息が夜に溶け、札場の灯りが雪に反射する。冬の訪れを告げるように、紙札がかすかに鳴った。


果林は酒瓶を掲げ、笑みを浮かべる。 「やっぱり寒い夜には、これが一番だね」 湯気のように漂う香りが、雪の静けさに溶けていく。


咲姫は団子を握りしめ、頬を赤らめて言った。 「……酒好きなのは、兎神さまの真似なのです」


果林はその言葉に吹き出し、酒瓶を軽く掲げた。 「ふふっ、そうかもしれないね。けど――」 一呼吸置いて、真剣な顔になる。 「うささまはお師匠様です!」


灯りが揺れ、札場に笑い声が広がる。 その瞬間、雪原の奥で白兎の影が跳ねた。 杯を掲げるように見えるその姿は、果林の言葉に応えるかのようだった。


紗綾は札帳を開き、静かに筆を走らせる。 「風の記録:兎とは!? 問い――真似か、師弟か。記録者・紗綾」


悠真は目を細め、雪原を見渡した。 「……冬の旅は、兎神さまが導いてくれるのかもしれないね」


風が吹き、雪が舞う。 果林は酒瓶を抱え、咲姫は団子を掲げ、紗綾は札帳を開いた。 三人娘の笑い声が重なり、冬の夜に小さな“ドキッ!!”が灯る。


白兎の影は跳ね、雪原に消えた。 それは冬の訪れを告げる合図であり、旅再開の象徴でもあった。



【後書き】

こんばんは、果林です。 咲姫に「酒好きなのは兎神さまの真似」と言われて、思わず笑ってしまいました。けれど、私にとっては“お師匠様”なんです。真似をしているうちに、師弟の縁が深まっていくのかもしれません。


雪原に跳ねる白兎の影――あれは幻だったのか、それとも兎神さまの姿だったのか。 札帳には「兎とは!? 問い――真似か、師弟か」と残しました。 冬の旅は、まだ始まったばかりです。

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