ep.35 札場の温泉町
冬の道を抜けると、遠くに白い湯気が立ち上るのが見えた。 果林が目を輝かせる。 「見て! あれ、温泉だよ!」
咲姫はしっぽを揺らしながら、鼻をひくつかせる。 「硫黄の匂いがするのです。近づくだけで温かい気持ちになるのです」
紗綾は札を胸に抱え、静かに言った。 「問いの風が導いている。次の札場は、この温泉町だね」
町に入ると、湯気が通りを覆い、冬の冷たい空気をやわらげていた。 旅人や地元の人々が浴衣姿で歩き、笑い声が響く。 ユウマはその光景に思わず息を呑んだ。 「団子や芋とは違う……ここは、温泉そのものがごちそうなんだ」
町の入り口で、宿の女将が声をかけてきた。 「旅人さん、ようこそ。冷えた体を温泉で癒していってくださいな」
果林は笑顔で答える。 「ぜひ! 団子や芋の次は、温泉だね」
咲姫はしっぽを揺らしながら、湯気に包まれる。 「温泉の問いは、どんなものなのです?」
紗綾は札をかざし、風を読む。 「癒しの中で、自分をどう見つめ直すか……それが問いになるのかもしれない」
ユウマは頷き、温泉町の灯りを見つめた。 「旅は厳しい。でも、こうして癒しの場所があるから進めるんだ」
――
宿に入ると、木の香りが漂い、畳の感触が足を包んだ。 女将は湯飲みを差し出す。 「まずはお茶をどうぞ。温泉に入る前に、心を落ち着けてね」
果林は湯飲みを手に取り、笑顔を浮かべる。 「温泉町って、食べ物だけじゃなくて空気そのものが美味しいね」
咲姫はしっぽを揺らしながら、湯気を見つめる。 「団子や芋とは違うけど、ここも旅の味なのです」
紗綾は静かに札を胸に抱え、言葉を添える。 「問いの風は、癒しの中にもある。温泉に浸かることで、心の問いが見えてくる」
ユウマは深く息を吸い込み、温泉の香りを胸に刻んだ。 「ここで、少し休んでから次の札場に挑もう」
湯船に足を浸した瞬間、ユウマは思わず声を漏らした。 「……あったかい……」
冷え切った体がじわじわと解けていく。 果林は肩まで湯に浸かり、目を閉じて深く息を吐いた。 「団子や芋も美味しかったけど、温泉は格別だね。体の奥まで温まる」
咲姫はしっぽを湯に浮かべ、くるくると回しながら笑った。 「しっぽもふわふわになるのです!」
紗綾は静かに札を湯気にかざし、風を読むように目を閉じた。 「癒しの中で問いが浮かんでくる……。私たちは、なぜ旅を続けるのか」
ユウマは湯に浸かりながら、その言葉を反芻した。 「失敗ばかりだけど、仲間がいるから挑戦できる。団子も芋も、温泉も……全部が旅の力になる」
――
湯船の隅では、地元の人々が談笑していた。 「札場を巡る旅人か。珍しいな」 「問いの風を探すなら、この温泉町も試されるぞ」
果林は興味深そうに耳を傾ける。 「温泉町の問いって、どんなものなんですか?」
老人は笑って答えた。 「癒しの中で、自分を見つめ直すことだ。温泉は体を温めるだけじゃない。心の奥まで照らすんだ」
咲姫はしっぽを揺らしながら頷いた。 「癒しの問い……団子や芋とは違うのです」
紗綾は札を胸に抱え、静かに言った。 「問いの風は、癒しの中にもある。温泉に浸かることで、心の問いが見えてくる」
ユウマは深く息を吸い込み、湯気を胸に刻んだ。 「ここで少し休んで、次の札場に挑もう」
――
湯上がりの休憩所では、冷たい牛乳が振る舞われた。 果林は一気に飲み干し、笑顔を浮かべる。 「温泉の後の牛乳って、どうしてこんなに美味しいんだろう」
咲姫はしっぽを揺らしながら、瓶を両手で抱えた。 「冷たさと温かさが混ざって、不思議な味なのです」
紗綾は静かに瓶を置き、言葉を添える。 「癒しの後に冷たさを味わう。それもまた問いだね」
ユウマは笑いながら頷いた。 「旅は厳しい。でも、こうして癒しの場所があるから進めるんだ」
夜の温泉町は、昼間とはまた違う表情を見せていた。 通りの両側には提灯が灯り、湯気と光が混ざり合って幻想的な景色をつくり出す。 果林はその光景に目を輝かせた。 「まるで夢の中みたいだね。団子や芋の町とはまた違う温かさがある」
咲姫はしっぽを揺らしながら、通りを歩く人々に手を振った。 「みんな笑顔なのです。癒しの町は、問いの風も優しいのです」
紗綾は札を胸に抱え、静かに言葉を添える。 「癒しの中で、自分を見つめ直すこと。それがこの町の問いなんだと思う」
ユウマは頷き、温泉町の灯りを見つめた。 「旅は厳しい。でも、こうして癒しの場所があるから進めるんだ」
――
宿の女将が再び声をかけてきた。 「明日の朝は、札場の湯守が問いを示すでしょう。旅人さんたち、心を整えて挑んでくださいね」
果林は笑顔で答える。 「はい! 団子や芋の問いを越えてきたから、温泉の問いもきっと乗り越えられる」
咲姫はしっぽを揺らしながら、湯気に包まれる。 「癒しの問い……楽しみなのです!」
紗綾は札をかざし、風を読む。 「問いの風は、癒しの中にもある。温泉に浸かることで、心の問いが見えてくる」
ユウマは深く息を吸い込み、温泉の香りを胸に刻んだ。 「ここで少し休んで、次の札場に挑もう」
――
夜更け、宿の窓から外を眺めると、湯気が月明かりに照らされていた。 ユウマは静かに呟いた。 「団子も芋も、温泉も……全部が旅の力になる。失敗しても、仲間がいるから挑戦できる」
果林は隣で笑顔を浮かべる。 「そうだね。旅は厳しいけど、温かさがあるから続けられる」
咲姫はしっぽを揺らしながら、窓の外を見つめる。 「問いの風は、まだまだ続いているのです」
紗綾は札を胸に抱え、静かに言った。 「癒しの問いを越えたら、次の札場が待っている。旅は終わらない」
――
こうして、ユウマたちは温泉町で癒しを得ながら、次の札場への決意を固めた。 問いの風は、彼らをさらに遠くへ導いていく。




