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【夜閑話:果林の団子日記】7
果林の団子日記:桔梗坂編
今日は桔梗坂で「桔梗団子」を食べました。紫色の花を模した団子で、見た目は少し大人っぽい雰囲気。口に入れるとやさしい甘さが広がって、心が落ち着くような味でした。町の人たちはこの団子を「誠実の団子」と呼んでいて、食べると素直な気持ちになれるんだそうです。
桔梗は夏に咲く花で、花言葉は「永遠の愛」「誠実」。古くから人々に大切にされてきた花で、凛とした姿が心を引き締めてくれます。団子屋のお姉さんも「この団子を食べると大切な人を思い出すよ」と笑っていました。町全体が花と団子に込められた思いを大切にしていて、歩いているだけで静かな安心感に包まれました。
……でも、あんに半分食べられちゃいました。せっかく誠実な気持ちになったのに、気づけばあんの胃袋へ。日記には「桔梗団子、半分はあんの胃袋へ」と書いておこうかな。少し悔しいけど、こうして分け合うのもまた誠実の形なのかもしれません。




