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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
2章

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ep.31 旅立ちの決意

団子屋の店先には、まだ香ばしい匂いが残っていた。 焼き団子を食べ終えた三人娘とユウマは、湯気のような余韻に包まれていた。 町の人々は笑顔で見送ってくれる。子どもたちは「また焼いてね!」と声をかけ、店主は「次はもっと上手くなるさ」と肩を叩いた。


果林がぽつりと言う。 「札場を巡る旅、続けたいね」


咲姫がしっぽを揺らしながら答える。 「問いの風はまだまだあるのです」


紗綾は静かにうなずいた。 「私たちの魔法も、もっと試されるべきだと思う」


ユウマは団子の香りを思い返しながら、胸の奥に熱を感じていた。 「僕も……魔法をもっと磨きたい。失敗ばかりだけど、仲間がいるから挑戦できる」


三人娘は顔を見合わせ、同時に笑った。 「じゃあ、決まりだね」


町の人々に挨拶をする。 「また戻ってくるよ」 「団子のお礼は、次の成功で返すから」 店主は大きくうなずき、旅人たちの背中を押すように見送った。


荷物を整え、札場の風を背に町を出る準備をする。 冬の空気は冷たいが、心は温かい。 ユウマは振り返り、町の灯りを見つめた。 「旅は厳しい。でも、人の温かさがあるから進める」


三人娘も同じように振り返り、しっぽや札を揺らした。 問いの風は、次の町へと導いている。


――


道の先には、まだ見ぬ札場がある。 温泉の湯気が立ち上る町、蒸し器のあるまんじゅう屋。 そこでもまた、ユウマは挑戦し、失敗し、そして成長するだろう。


旅立ちの決意は、焼き団子の香りとともに、確かに心に刻まれていた。

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