閑話 150人目の風― 150UA記念回
閑話 150人目の風 ― U記念
町の広場に集まった仲間たちは、少し誇らしげに周囲を見渡した。
「最初に比べたら、この町もずいぶん大きくなってきたね」
紗綾が札帳を閉じながら微笑む。記録の文字は、風のように重なり合い、縁の証を刻んでいた。
咲姫は団子を差し出し、しっぽを揺らす。
「150人目の風なのです! 団子でお祝いするのです!」
その声は弾むように広場へ響き、子どもたちの笑い声と重なった。
果林は香りを嗅ぎながら頷いた。
「縁って、数じゃなくて重なりだね。でも、こうして形になると未来が見えてくるよ」
彼女の言葉に、仲間たちはうなずき合う。縁はただの数字ではなく、町を育てる力そのものだった。
小豆は祈りを捧げ、木世実が舞の拍を刻む。風音が樹魔法で光を揺らし、涼羽がそっと微笑んだ。
「旅って、こういう瞬間が一番大切かも。町が広がるなら、こういう風を忘れないでいたいね」
その言葉は、未来の町作りを思わせる小さな伏線となった。
悠真は腕を組み、少し真面目な顔で言った。
「いろんな人たちが参加してくれてる。まだまだ成長する余地がある。もっと広げていこう」
その声は広場の空気を引き締め、仲間たちの心に新しい決意を芽生えさせた。
団子を振り上げる咲姫、酒瓶を掲げる果林、札帳を閉じる紗綾。
それぞれの象徴が重なり、広場は小さな宴のように賑わった。
笑い声と拍手が重なり、町の風はさらに広がっていく。
「150人目の風……」紗綾が静かに呟く。
「これは途中経過。でも、確かに未来へ繋がる証だね」
仲間たちは顔を見合わせ、笑みを交わした。
広場に響く声は風のように広がり、読者と物語を優しく結びつけていった。
それはまだ小さな町の姿だったが、確かに次へと繋がっていく――。
――後書き
私は森に生きる者。まだ物語には姿を見せていないけれど、風の広がりを静かに見守っている。
150人目の風が重なったとき、この町が少しずつ形を変えていくのを感じた。
町はまだ小さい。けれど、読んでくださる方々の声が重なれば、きっともっと大きく育っていく。
縁は数字ではなく、重なりの証。あなたと物語が交わるたびに、この町は広がっていくのだ。
どうか、これからも一緒に育ててほしい。
風と縁を重ねながら、町は未来へと歩み続けるから――。




