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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
1章

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ep.23 問いと風の沈黙

印は、動きを止めていた。 墨のにじみのようだった形が、 今は、まるで“問い”のように見えた。


「……これ、何か聞いてるのですか?」


咲姫が札帳をのぞき込む。 猫耳飾りは、風が止まったまま揺れない。


「問い、かもね」


紗綾が筆を持ったまま、動かさない。 札帳は、ただ静かにその印を映していた。


「でも、何を聞いてるの?」


果林が串をくるくる回しながら言う。 その動きだけが、風の代わりに場を揺らしていた。


「団子で答えるのはアリ?」


「それは……気持ちとしてはアリなのです!」


「でも、札帳は反応しない」


「じゃあ、団子じゃ足りないのです!」


主人公は、印を見つめていた。 その形は、どこか“記憶の断片”に似ていた。 でも、はっきりとは思い出せない。


「……問いって、記憶に触れるものかも」


ミナがぽつりと言う。 その声は、風の代わりに空気を揺らした。


「モカ・ラテのしっぽの揺れ方、  あれも、何かを思い出させる感じだった」


「うん。でも、思い出せない」


「それが“問い”なのかも」


三人娘は、札帳を囲んでしゃがみ込んでいた。


「猫神様の“なぞなぞ”なのです!」


「でも、答えがないと札は現れないかも」


「じゃあ、答えを探すのです!」


「でも、風が止まってるよ?」


「それは……猫神様が“待ってる”のです!」


果林は、串をそっと地面に置いた。


「じゃあ、団子も待機」


「団子はいつも待機なのです!」


「でも、香りは残ってる」


風は、まだ動かない。 札帳の印も、変化しない。 でも、空気の中に、何かが“整っていく”気配があった。


主人公は、そっと目を閉じた。 ミナも、静かにその隣に立っていた。


「……次の札は、問いの先にある」


「うん。でも、まだ“答え”が見えてない」


「それでも、風はまた吹くはず」

最後まで読んでくださって、ありがとうなのです〜 感想やアドバイス、そっといただけたら嬉しいのです。 ★やリアクションで応援してもらえると、咲姫のしっぽがぽわぽわ揺れるのです〜 のんびり更新ですが、これからもよろしくお願いしますのですっ!

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