ep.123 試される絆、迫る圧力
森の最深部―― 影の主の黒い風は、さらに強く渦を巻き、 咲姫たちを試すように迫ってきた。
咲姫 「ひゃぁぁぁ……! なんか……押し返せないのですーー!!」
風音 「……咲姫。 “導く風”をもっと信じろ。 仲間の力を繋ぐのはお前だ」
風花 「咲姫ちゃんの風、まだ揺れてるねぇ。 でも……ちゃんとみんなを包んでる」
果林 「団子も包まれてるよ~」
咲姫 「団子は包まなくていいのですーー!!」
影の主は低く唸り、 黒い風をさらに強めた。
影の主 「……導く風……砕け散れ……」
咲姫 「ひゃぁぁぁ……! 砕けなくていいのですーー!! でも……がんばるのです……!」
冒険者A 「咲姫ちゃんの風が弱まってる……!」
冒険者B 「このままじゃ……!」
オグマ 「全員、咲姫を支えろ! 彼女の風が試されている!」
紗綾 「……猫は“試練の圧力”と言っています」
咲姫は胸の奥に手を当て、 必死に風を呼び起こした。
……ふわぁぁぁ……
咲姫 「ひゃっ……!? な、なんか……私の風が…… みんなの声を集めてるのです……!」
風音 「……咲姫。 それが“試練を越える力”だ」
仲間たちの声と力が、 咲姫の風に重なり、 黒い風を押し返した。
まるで―― 絆そのものが試練を乗り越えたかのように。




