ep.117 森を乱すものの影
森の核心―― 咲姫の風が導く力を得たことで、 静けさが戻ったかに見えた。 しかし、その奥底にはまだ異質な気配が残っていた。
咲姫 「ひゃぁぁぁ……! なんか……まだざわざわしてるのです……!」
風音 「……“外からの力”が完全には退いていない。 ここに根を張っている」
風花 「咲姫ちゃんの風も、ちょっと怯えてるねぇ」
果林 「団子も怯えてるよ~」
咲姫 「団子は怯えないのですーー!!」
森の奥から、 黒い風の残滓がゆらりと揺れた。
冒険者A 「まだ残ってる……!」
冒険者B 「まるで……誰かが操ってるみたいだ……」
紗綾 「……猫は“影の主”と言っています」
咲姫 「影の主って…… また怖いのですーー!!」
光の風(封じられた風)は、 咲姫の前で震えながら言葉を紡いだ。
風の魂 「……外から……来た…… 森を……乱す者…… “影の主”……」
咲姫 「ひゃっ……!? そんなの聞いてないのですーー!!」
風音 「……咲姫。 森の異変は、“影の主”によるものだ」
オグマ 「つまり、敵は森の外から侵入してきた存在……」
風花 「咲姫ちゃん、この子(欠片)も震えてるよ」
影 「……ぴ……」
咲姫 「ひゃぁぁぁ……! な、なんか……“怖い”って聞こえたのです……!」
風音 「……咲姫。 “封じられた風”は、その影に封じられた。 だから今も眠り続けていた」
咲姫 「眠らなくていいのですーー!! でも……がんばるのです……!」
森の核心に、 “影の主”の存在が少しずつ輪郭を現し始めた。
まるで―― 次なる試練を告げるかのように。




