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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.111 眠りの記憶、森の核心

森の最深部―― 淡い光の風は、咲姫の周りを静かに巡っていた。


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  なんか……胸の奥がざわざわするのです……!」


風音 「……“封じられた風”が、咲姫に記憶を見せようとしてる」


風花 「怒ってないよ。  むしろ……“伝えたい”って感じだねぇ」


果林 「団子も伝えたいって言ってるよ~」


咲姫 「団子は伝えないのですーー!!」


光の風は、 咲姫の額にふわりと触れた。


……ふわぁぁぁ……


視界が揺れ、 咲姫の頭の中に“知らない景色”が流れ込んだ。


(咲姫の内側・風の記憶)


――森が歌っている。 ――風の子どもたちが遊んでいる。 ――祈りの声が響いている。


そして―― “封じられた風”が、森を守っている姿。


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!?  な、なんか見えたのですーー!!  森さんの……昔の姿なのですーー!!」


風音 「……咲姫。  “封じられた風”は、森を守る存在だった」


咲姫 「守るって……  じゃあ、悪い子じゃないのです……?」


風花 「そうだねぇ。  でも、何かの理由で“眠らされて”しまったんだよ」


紗綾 「……猫は“外からの力”と言っています」


オグマ 「外から……?  つまり、森の異変は内部ではなく外的要因か」


冒険者A 「そんなことが……」


冒険者B 「じゃあ、敵は森の外に……?」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  外って……もっと怖いのですーー!!」


光の風は、 咲姫の周りを巡りながら、 まるで“頼るように”揺れた。


風の魂 「……咲姫……  “助けて”……」


咲姫 「ひゃっ……!?  ま、また頼られてるのですーー!!  でも……がんばるのです……!」


森の核心に、 咲姫の風と“封じられた風”の記憶が重なり合った。


まるで―― 真実へ近づいているかのように。

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