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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.110 風に選ばれる咲姫

森の最深部―― 淡い光の風は、咲姫の前で静かに揺れていた。


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  まだ見られてるのです……!」


風音 「……咲姫。  “封じられた風”が、もっと話したがってる」


風花 「怒ってないよ。  むしろ……“頼りたい”って感じだねぇ」


果林 「団子も頼りたいって言ってるよ~」


咲姫 「団子は頼らないのですーー!!」


光の風は、 咲姫の周りをふわりと巡り、 まるで抱きしめるように包み込んだ。


風の魂 「……咲姫……  “守る風”……  あなたは……選ばれし者……」


咲姫 「ひゃっ……!?  選ばれたくないのですーー!!」


風音 「……咲姫。  “封じられた風”は、  お前を選んだ」


咲姫 「選ばれなくていいのですーー!!  私、ただの咲姫なのですーー!!」


紗綾 「……猫は“風の継承者”と言っています」


オグマ 「継承者……?  つまり、咲姫が“封じられた風”を解放する鍵か」


冒険者A 「すごい……」


冒険者B 「まさか、咲姫ちゃんが……」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  そんな大役は困るのですーー!!」


風花 「でもねぇ、咲姫ちゃん。  この子(欠片)も咲姫ちゃんに懐いてるでしょ?  それが答えなんだよ」


影 「……ぴ……」


咲姫 「ひゃっ……!?  な、なんか……“よろしく”って聞こえたのです……!」


風音 「……咲姫。  風は“あなたと一緒に歩みたい”って言ってる」


咲姫 「歩まなくていいのですーー!!  でも……がんばるのです……!」


森の最深部に、 咲姫の風と“封じられた風”が重なり合った。


まるで―― 新しい絆が結ばれたかのように。

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