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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.100 森へ向かう準備なのです

翌朝―― ギルドの前には、すでに冒険者たちが集まっていた。


冒険者A 「森の奥の調査か……緊張するな」


冒険者B 「昨日のマウラーの件もあるしな。  気を引き締めろよ」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  また森なのです……!」


風音 「……咲姫、風が落ち着いてる。  “行く準備できた”って言ってる」


咲姫 「言ってるのですーー!?  私、聞いてないのですーー!!」


風花 「でもねぇ、咲姫ちゃん。  その風、昨日よりも澄んでるよ。  なんだか“覚悟”みたいなものを感じるねぇ」


咲姫 「か、覚悟なんてないのです……!  ただ……みんなを守りたいだけなのです……!」


果林 「それが覚悟だよ~。  団子も応援してるよ~」


咲姫 「団子は応援しないのですーー!!」


オグマが歩み寄り、 咲姫の肩に手を置いた。


オグマ 「咲姫。  お前の風が“道しるべ”になる。  森の奥で何が起きているのか、  確かめるぞ」


咲姫 「うぅ……  が、がんばるのです……!」


風音は、 咲姫の周りを流れる風をじっと見つめた。


風音 「……咲姫。  “新しい風”が混ざってる」


咲姫 「新しい風……?」


風音 「……昨日までは“古い風”だけだった。  でも今は……  “誰かを守りたい風”が強くなってる」


咲姫 「ひゃっ……!  そんな風、知らないのです……!」


風花 「咲姫ちゃんの心が変わったんだよ。  だから風も変わるんだねぇ」


紗綾 「……猫は“頼もしい風”と言っています」


咲姫 「頼もしくなくていいのですーー!!  でも……ありがとうなのです……!」


そのとき―― ふわっ。


咲姫の髪が、 ひとりでに揺れた。


咲姫 「ひゃっ……!?  な、なんか来たのです……!」


風音 「……咲姫、何を感じる?」


咲姫は胸の奥に手を当て、 そっと目を閉じた。


……ふわっ。


咲姫 「……森の奥から……  “呼んでる風”があるのです……  でも……昨日の精霊さんじゃないのです……  もっと……深い……  もっと……静かな……  “眠ってる風”なのです……」


冒険者A 「眠ってる風……?」


冒険者B 「また精霊の類か……?」


オグマ 「咲姫。  その風は危険か?」


咲姫 「わ、わからないのです……  でも……  “助けて”って言ってる気がするのです……」


風音 「……なら、行くしかない」


風花 「咲姫ちゃんの風がそう言うならねぇ」


果林 「団子も“行こう”って言ってるよ~」


咲姫 「団子はしゃべらないのですーー!!」


オグマ 「全員、準備はいいな。  これより森の奥へ向かう。  咲姫、先頭を頼む」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  で、でも……がんばるのです……!」


風が、 咲姫の背中をそっと押した。


まるで―― “新しい風”が、 咲姫を導いているようだった。

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