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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.99 風がざわつくのです

ギルドの会議室には、 戦闘を終えた冒険者たちが集まっていた。


オグマ 「まずは報告だ。  北門の避難は全員完了。  負傷者は軽傷のみ。  マウラーは討伐済みだ」


冒険者A 「しかし……あの規模の群れ、  今まで見たことがありません」


冒険者B 「森の奥で何か起きてるんじゃ……?」


咲姫 「ひゃっ……!  ま、また森なのです……?」


風音 「……咲姫、風がざわついてる」


咲姫 「ざわついてる……?」


風花 「咲姫ちゃんの風、さっきから落ち着かないねぇ。  何か感じてるんじゃない?」


咲姫 「か、感じてるって言われても……  私、ただの咲姫なのです……!」


果林 「団子は落ち着いてるよ~」


咲姫 「団子は関係ないのですーー!!」


オグマは腕を組み、 咲姫の様子をじっと見た。


オグマ 「咲姫。  お前の風は“森の異変”に敏感だ。  何か感じるか?」


咲姫 「ひゃっ……!?  そ、そんな急に言われても……!」


咲姫は胸の奥に手を当て、 そっと目を閉じた。


……ふわっ。


風が、 咲姫の周りを静かに巡る。


咲姫 「……あ……  なんか……変なのです……」


風音 「……どんな風?」


咲姫 「森の奥から……  “冷たい風”が来てるのです……  でも……その奥に……  “もっと古い風”が……  泣いてるみたいなのです……」


冒険者A 「古い風……?」


冒険者B 「泣いてる……?」


風花 「精霊さんの風かなぁ……  咲姫ちゃん、過去で会ったでしょ?」


咲姫 「ひゃっ……!  あ、あの精霊さんなのです……?」


紗綾 「……猫は“森の奥に異変あり”と言っています」


オグマ 「やはりか。  マウラーの出現は偶然ではない。  森の奥で何かが起きている」


咲姫 「うぅ……  また森に行くのです……?」


風音 「……咲姫の風が、  “行かなきゃ”って言ってる」


咲姫 「言ってるのですーー!?  私、聞いてないのですーー!!」


果林 「団子も“行こう”って言ってるよ~」


咲姫 「団子はしゃべらないのですーー!!」


オグマ 「決まりだ。  明朝、森の奥へ調査に向かう。  咲姫、お前も来い」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  ま、また鍵なのです……?」


風音 「……咲姫の風は、  “鍵”じゃなくて“道しるべ”」


咲姫 「道しるべなのです……?」


風花 「うん。  咲姫ちゃんの風が、  みんなを導いてくれるよ」


咲姫 「うぅ……  そんなこと言われたら……  がんばるしかないのです……!」


会議室の窓から吹き込む風が、 咲姫の髪をそっと揺らした。


まるで―― “古い風”が、 再び咲姫を呼んでいるようだった。

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