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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.97 風の余韻、なのです

マウラーが倒れ、 北門の周囲に静けさが戻り始めた。


冒険者A 「……はぁ……終わった……のか……?」


冒険者B 「咲姫ちゃんの風……すごかったな……」


果林 「団子もびっくりしてるよ~」


咲姫 「団子はびっくりしないのですーー!!」


風花 「でも、ほんとにすごかったよ。  咲姫ちゃんの風、みんなを守ってた」


紗綾 「……猫も“よくやった”と言っています」


咲姫 「うぅ……  みんな無事でよかったのです……!」


オグマがゆっくりと近づき、 咲姫の肩に手を置いた。


オグマ 「咲姫。  お前の風がなければ、  避難は間に合わなかった。  ……よくやった」


咲姫 「ひゃっ……!  そ、そんなに褒められると……  照れるのです……!」


風音は、咲姫の周りを流れる風をじっと見つめた。


風音 「……咲姫。  “風が変わってる”」


咲姫 「変わってる……?」


風音 「……前よりも“深い風”。  過去の精霊の風が、  咲姫の中に残ってる」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  残らなくていいのですーー!!」


風花 「でもねぇ、咲姫ちゃん。  その風、すごく優しいよ。  森の精霊さんみたいに」


咲姫 「優しいのは……いいのです……  でも強いのは困るのですーー!!」


果林 「でも強いほうが団子守れるよ~」


咲姫 「団子のために強くなりたくないのですーー!!」


オグマ 「……咲姫。  風が強くなるのは悪いことじゃない。  “誰かを守りたい”と思った証だ」


咲姫 「守りたい……」


胸の奥が、 ふわっ、と温かくなった。


咲姫 「……私……  みんなを守りたいのです……  だから……風さん……  これからも……よろしくなのです……」


風音 「……風が喜んでる」


風花 「咲姫ちゃん、ほんとに成長したねぇ」


紗綾 「……猫も“頼もしい”と言っています」


果林 「団子も喜んでるよ~」


咲姫 「団子は喜ばないのですーー!!」


北門に吹く風は、 どこか懐かしく、 どこか新しい。


まるで―― 咲姫の中に宿った“古い風”が、 そっと微笑んでいるようだった。

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