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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.96 連携する風、なのです

巨大なマウラーは、 咲姫の“風の壁”に押し返されながらも、 なおも地面を削り、前へ進もうとしていた。


マウラー 「グォォォォ……!」


咲姫 「ひぃぃぃ……!  お、重いのですーー!!」


風音 「……咲姫、風が言ってる。  “ひとりじゃない”って」


咲姫 「ひとりじゃ……ない……?」


風花 「そうだよ~。  咲姫ちゃんの風、みんなと一緒に戦いたがってるよ」


果林 「団子も応援してるよ~!」


咲姫 「団子は応援しないのですーー!!」


オグマ 「前衛、咲姫の風に合わせろ!  “風の壁”が押し返した瞬間に叩くぞ!」


冒険者A 「了解!!」


冒険者B 「風が弱まったら下がれ!  死ぬぞ!!」


咲姫 「うぅ……!  みんな……お願いなのです……!」


咲姫が両手を前に突き出すと、 風の壁が一瞬だけ強く輝いた。


風音 「……今!」


オグマ 「突撃!!」


前衛の冒険者たちが一斉に飛び出し、 マウラーの脚へ斬撃を叩き込む。


マウラー 「グォォッ!?」


冒険者A 「効いてるぞ!!」


冒険者B 「咲姫の風が押してくれてる!  今ならいける!!」


咲姫 「が、がんばるのです……!  風さん……みんなを……守って……!」


ふわっ。


咲姫の風が、 まるで仲間たちの動きに合わせるように流れた。


風音 「……“連携の風”が出てる。  咲姫、すごい」


風花 「過去の精霊さんの風も混ざってるねぇ。  咲姫ちゃん、もう立派な風使いだよ」


咲姫 「立派じゃなくていいのですーー!!  でも……みんなを守るのですーー!!」


マウラーは怒り狂い、 大きく体を振り上げた。


マウラー 「グオォォォォ!!」


冒険者A 「やばい! 突進だ!!」


冒険者B 「避けろ!!」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  風さん……お願いなのですーー!!」


咲姫が叫んだ瞬間――


風の壁 ぱぁんっ!!


さっきよりも強い風が広がり、 マウラーの突進を大きく逸らした。


マウラー 「グォッ……!?」


オグマ 「今だ!!  全員、総攻撃!!」


冒険者たち 「おおおおおお!!」


剣、槍、魔法が一斉にマウラーへ叩き込まれ、 巨体がぐらりと揺れ――


マウラー 「……グォォ……」


どさっ。


ついに、地面へ倒れ込んだ。


冒険者A 「や、やった……!」


冒険者B 「マウラーが倒れたぞ!!」


果林 「咲姫~! すごいよ~!!」


紗綾 「……猫も“よくやった”と言っています」


風音 「……咲姫の風、  みんなと一緒に戦ったね」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  こ、怖かったのです……!  でも……みんな無事でよかったのです……!」


オグマ 「咲姫。  よくやった。  お前の風が、町を救った」


咲姫 「うぅ……  そんなに褒められると……  照れるのです……!」


風が、 咲姫の髪をそっと揺らした。

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