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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.93 避難誘導、がんばるのです

北門へ向かうと、 すでに多くの民間人が集まっていた。


子どもを抱えた母親、 荷物をまとめる老人、 不安そうに空を見上げる人々。


咲姫 「ひゃっ……!  み、みんな不安そうなのです……!」


風音 「……風がざわついてる。  “早く動かして”って言ってる」


果林 「団子の袋も揺れてるよ~。  これは急いだほうがいいよ~」


咲姫 「団子で判断しないでほしいのですーー!!」


冒険者A 「オグマさん!  避難が進みません!  道が狭くて、みんな立ち止まってしまって!」


冒険者B 「後ろからモンスターの気配が迫ってます!  時間がありません!」


オグマ 「咲姫。  “風で道を示せるか”」


咲姫 「うぅ……やってみるのです……!」


咲姫は胸の奥に手を当て、 ゆっくりと息を吸い込んだ。


咲姫 「……風さん……  みんなを……安全な道へ……  導いてほしいのです……!」


ふわっ。


咲姫の髪が揺れ、 足元から優しい風が広がった。


風音 「……きた。  “誘導の風”」


風花 「咲姫ちゃんの風、やっぱり優しいねぇ。  人が自然と動きたくなるよ」


紗綾 「……猫も“ついていきたい風”と言っています」


果林 「わぁ~、みんな動き始めたよ~!」


民間人 「……あれ?  なんだか、こっちに行ったほうがいい気が……」


民間人 「風が……背中を押してくれる……」


民間人 「この道、歩きやすい……!」


咲姫 「ほ、本当に動いてるのです……!?  私の風で……?」


風音 「……うん。  “安全な道の風”を強くしたから。  人は自然とそっちへ向かう」


オグマ 「よくやった、咲姫。  このまま避難を続けるぞ」


咲姫 「は、はいなのです……!」


そのとき―― 地面が、どん、と揺れた。


咲姫 「ひゃっ……!?  ま、またなのです……!」


風音 「……来る。  “モンスターの風”が近い」


冒険者A 「北側の森から黒い影が多数!  距離、あと数百メートル!」


冒険者B 「避難が終わる前に来ます!  迎撃準備を――!」


オグマ 「全員、構えろ!  咲姫は避難誘導を続けろ!」


咲姫 「ひぃぃ……!  で、でも……がんばるのです……!」


風花 「大丈夫だよ、咲姫ちゃん。  私たちもついてるからねぇ」


果林 「団子食べながら戦うよ~!」


咲姫 「食べながら戦わないでほしいのですーー!!」


黒い影が、森の奥でうねり始めた。


風音 「……来る。  本当に“群れ”だ」


咲姫 「ひゃぁぁぁ……!  でも……みんなを守るのです……!」


風が、咲姫の背中をそっと押した。

「誰と過ごしたい?」 クリスマス投票の結果は、12/25に物語の中で明かされます。 あなたの選んだ“あの子”との特別な夜が、 そっと灯りますように。

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