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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.92 ギルド、慌ただしいのです

医務室を出ると、 ギルドの廊下はいつになく騒がしかった。


冒険者A 「北門の避難、まだ終わってないぞ!  急げ、急げ!」


冒険者B 「南側にもモンスターの影!  包囲されるぞ!」


咲姫 「ひゃっ……!  な、なんか大変なことになってるのです……!」


風音 「……風がざわついてる。  “たくさん来る”って言ってる」


果林 「団子の袋も揺れてるよ~。  これはほんとにヤバいよ~」


咲姫 「団子で判断しないでほしいのですーー!!」


オグマは歩きながら、 短く状況を説明してくれた。


オグマ 「三日前から、森の奥で“異常な風”が観測されていた。  お前が眠りについた頃だ」


咲姫 「えっ……私のせいなのです……?」


オグマ 「違う。  むしろ、お前が眠っていたから“風が暴れずに済んだ”可能性もある」


咲姫 「暴れなくてよかったのです……!」


風花 「咲姫ちゃんの風、過去の精霊さんとつながったままだしねぇ。  今はまだ安定してるよ」


紗綾 「……猫は“咲姫の風は落ち着いている”と言っています」


咲姫 「落ち着いてるならよかったのです……!」


オグマ 「問題は“外”だ。  森からモンスターの群れが押し寄せている。  冒険者だけでは手が足りん」


咲姫 「ひゃっ……!?」


オグマ 「民間人の避難が最優先だ。  だが、北門の道が狭くてな……  “風で誘導”できれば、避難が早くなる」


咲姫 「風で誘導……?」


風音 「……咲姫ならできる。  “安全な道の風”を強くすれば、  人は自然とそっちへ向かう」


咲姫 「そんなことできるのです……?」


風花 「過去の森で、咲姫ちゃんやってたよ。  覚えてないだけで、もうできるよ」


咲姫 「ひゃっ……!  私、そんなことしてたのです……!?」


果林 「咲姫の風、甘くて優しいから~  人も動物もついていくよ~」


咲姫 「甘いって言わないでほしいのですーー!!」


オグマ 「咲姫。  お前の風が必要だ。  できるか?」


咲姫は胸の奥に手を当てた。 過去の森で感じた“ふわっ”とした温かさが、 まだそこに残っている。


咲姫 「……やってみるのです。  私の風で、誰かが助かるなら……!」


オグマ 「よし。  北門へ向かうぞ。  冒険者たちも合流する」


風音 「……風が道を示してる。  “急げ”って言ってる」


咲姫 「急ぐのですーー!!」


ギルドの扉を開けると、 外の風が、まるで咲姫を待っていたかのように吹き抜けた。

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