表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/197

ep.90 町へ帰るのです

森を抜けると、 町の屋根が見えてきた。


咲姫 「はぁ……やっと帰ってきたのです……!」


果林 「団子~! 帰ったら団子食べる~!」


咲姫 「果林さんはいつも団子なのです……!」


紗綾 「……猫は“無事に帰れてよかった”と言っています」


風花 「ほんとだねぇ。  森の風も落ち着いたし、今日はゆっくり休もう」


風音 「……咲姫の風も、落ち着いてる。  でも……前より“強くて優しい”」


咲姫 「強くならなくていいのですーー!!」


オグマ 「強くなったというより、  “森に認められた”んだろう」


咲姫 「認められても困るのです……!」


リオの仲間の青年は、 まだ少しふらつきながらも笑っていた。


青年 「本当に……ありがとう。  君たちが来てくれなかったら、  ずっとあの場所に閉じ込められてた」


リオ 「もう無茶するなよ。  森の声が聞こえたからって突っ走るな」


青年 「……うん。  でも、不思議だよ。  “優しい風に呼ばれた”気がしたんだ」


咲姫 「ひゃっ……!  そ、それは……精霊さんなのです……!」


風花 「ふふ。  でも咲姫ちゃんの風も混ざってたかもねぇ」


咲姫 「混ざらなくていいのですーー!!」


町の門が見えてくると、 咲姫は胸の奥をそっと押さえた。


咲姫 「……なんか……胸がぽかぽかするのです……  森の風……まだ残ってるのです……」


風音 「……咲姫の風が、森とつながったから。  これからも、きっと“呼ばれる”」


咲姫 「呼ばれなくていいのですーー!!」


果林 「でも、咲姫なら大丈夫だよ~。  風にモテモテだし~」


咲姫 「モテなくていいのですーー!!」


オグマ 「まあ、呼ばれたら呼ばれたで、  またみんなで行けばいい」


風花 「そうだねぇ。  咲姫ちゃんひとりじゃないよ」


咲姫 「……みんな……ありがとうなのです……」


風音 「……咲姫の風、  これからもっと優しくなる」


咲姫 「優しくなるのは……ちょっとだけならいいのです……」


町の風が、 まるで咲姫の背中をそっと押すように吹いた。


咲姫 「……よし。  明日もがんばるのです……!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ