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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.89 森を出るのです

光の扉を抜けると、 外の森の風がふわっと迎えてくれた。


咲姫 「はぁ……帰ってきたのです……!」


果林 「外の風、おいしい~!」


咲姫 「おいしいって言わないでほしいのです……!」


紗綾 「……猫は“安全になった”と言っています」


風音 「……封じられた場所が開いたから。  森の風が全部、流れ直してる」


風花 「森が軽くなったねぇ。  咲姫ちゃんの風、よくがんばったよ」


咲姫 「がんばってないのです……!  ただ……呼ばれただけなのです……!」


オグマ 「呼ばれた時点で十分だ。  森が咲姫を選んだんだろう」


咲姫 「選ばれても困るのですーー!!」


リオの仲間の青年は、 まだ少しふらつきながらも笑っていた。


青年 「本当に……助かったよ。  君たちが来なかったら、ずっとあそこに……」


リオ 「もう無茶するなよ。  森の声が聞こえたからって突っ走るな」


青年 「……ごめん。  でも、不思議なんだ。  “優しい風に呼ばれた”気がして……」


咲姫 「ひゃっ……!  そ、それは……精霊さんなのです……!」


風の精霊が、 静かに咲姫の前へと浮かび上がった。


風の精霊 「……あなたの風……  わたしを……めざめさせた……  ほんとうに……ありがとう……」


咲姫 「うぅ……どういたしましてなのです……」


風の精霊 「……あなたの風……  これから……もっと……つよく……  やさしく……なる……」


咲姫 「強くならなくていいのですーー!!」


風花 「ふふ。  咲姫ちゃんの風は、もう“森に認められた”んだよ」


風音 「……咲姫の風、変わった。  “森の風”と仲良くなった」


咲姫 「仲良くなりすぎなのですーー!!」


風の子 「……また……あそびにきて……  まってる……」


咲姫 「遊びに来るのです……?」


風の精霊 「……森は……あなたを……すき……  いつでも……かぜを……かえす……」


咲姫 「す、好きって言われても困るのですーー!!」


果林 「咲姫、森にもモテモテだよ~」


咲姫 「モテなくていいのですーー!!」


風の精霊は、 ふわりと光を散らしながら森の奥へ戻っていった。


風音 「……帰った。  森の風、もう大丈夫」


オグマ 「よし、町へ戻るぞ。  今日のところは、よくやった」


咲姫 「は、はいなのです……!」


森の風は、 まるで咲姫たちを祝福するように 優しく吹き抜けていった。

「誰と過ごしたい?」 クリスマス投票の結果は、12/25に物語の中で明かされます。 あなたの選んだ“あの子”との特別な夜が、 そっと灯りますように。

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