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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.88 封じられた場所で会うのです

光の扉をくぐると、 そこは森の中とは思えないほど静かで、 空気がふわっと柔らかかった。


咲姫 「ここ……森の中じゃないみたいなのです……」


風音 「……“風が閉じた場所”。  外とは違う空気が流れてる」


果林 「団子の匂いもしないよ~。  ここ、すごく静か~」


紗綾 「……猫は“誰かいる”と言っています」


リオは前へ進み、 薄い光の中をじっと見つめた。


リオ 「……あれは……!」


光の奥に、 ひとりの青年が座り込んでいた。


青年 「……ん……?」


咲姫 「ひゃっ……! 人なのです……!」


風花 「大丈夫だよ。  気を失ってただけみたいだねぇ」


青年はゆっくりと顔を上げ、 リオを見て目を丸くした。


青年 「……リオ……?  なんで……ここに……」


リオ 「探しに来たに決まってるだろ……!  無事でよかった……!」


青年 「……ごめん……  森の声が聞こえて……  気づいたらここに……」


咲姫 「森の声って……精霊さんなのです?」


風の精霊 「……そう……  わたしが……よんだ……  でも……力が弱くて……  ここで……とまってしまった……」


青年 「声は聞こえたんだけど……  途中で風が消えて……  動けなくなって……」


風音 「……“風が閉じた場所”だから。  普通の人は、風がないと動けない」


咲姫 「じゃあ……私たちが来なかったら……?」


風花 「ずっとここで寝てたかもねぇ。  でも、もう大丈夫だよ」


果林 「咲姫の風が開けたからね~」


咲姫 「また私なのですーー!!」


青年は咲姫を見て、 少しだけ笑った。


青年 「君が……風を開けてくれたのか……?  ありがとう……助かったよ……」


咲姫 「ひゃっ……!  あ、あの……どういたしましてなのです……!」


紗綾 「……猫は“帰ろう”と言っています」


オグマ 「そうだな。  ここは長居する場所ではない」


風の精霊 「……あなたたち……ありがとう……  森の風……また……ながれる……」


風の子 「……かえる……  みんなで……かえる……」


咲姫 「帰るのです……!」


光の扉が、 まるで待っていたかのようにふわりと揺れた。

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