ep.87 封じられた場所、開くのです
森の奥へ進むと、 空気がふっと震えた。
風の子 「……ひらく…… もうすぐ……ひらく……」
咲姫 「ひゃっ……なんか胸がぽかぽかするのです……!」
風音 「……咲姫の風が反応してる。 “封じられた場所”が開く前触れ」
風花 「精霊さんの力が戻ったからだねぇ。 森が息を吹き返してるよ」
果林 「団子の袋もふわっと揺れたよ~。 風が戻ってきてる~」
咲姫 「団子で風を感じないでほしいのです……!」
紗綾 「……猫は“この先に扉がある”と言っています」
オグマ 「扉……? 森の中にか?」
風音 「……風の扉。 普通の目では見えない。 “風の鍵”がないと開かない」
咲姫 「風の鍵って……まさか……」
風音 「……咲姫」
咲姫 「また私なのですーー!!」
風の精霊が、 静かに咲姫の前へ進み出た。
風の精霊 「……あなたの風…… わたしの力と……いっしょに…… 扉を……ひらく……」
咲姫 「ひ、開くって言われても困るのです……!」
風花 「大丈夫だよ。 咲姫ちゃんの風は優しいから、森も喜ぶよ」
果林 「咲姫、鍵っ子だもんね~」
咲姫 「鍵っ子って言わないでほしいのですーー!!」
風の子 「……ここ…… ここが……とびら……」
風の子が止まった場所は、 ただの木々の間に見えるのに―― 空気がそこだけ、ゆらりと揺れていた。
咲姫 「えっ……ここ……何もないのです……?」
風音 「……見えないだけ。 “風の扉”が閉じてる」
風の精霊 「……咲姫…… 手を……かざして……」
咲姫 「うぅ……わかったのです……!」
咲姫がそっと手をかざすと、 胸の奥がふわっと温かくなり――
空気が、 ぱぁっと光った。
風の扉 ふわり、と開く。
果林 「わぁ~! 光ってる~!」
紗綾 「……猫は“中に誰かいる”と言っています」
リオ 「仲間……! 仲間がこの中に……!」
風音 「……気配がはっきりした。 “生きてる風”がある」
咲姫 「じゃあ……仲間さん、本当に無事なのです……?」
風の精霊 「……いきている…… でも……“風が弱い”…… はやく……いって……」
オグマ 「よし、入るぞ。 咲姫、気を抜くな」
咲姫 「は、はいなのです……!」
光の扉の向こうから、 確かに“誰かの風”が、弱く、でも確かに流れていた。
「誰と過ごしたい?」 クリスマス投票の結果は、12/25に物語の中で明かされます。 あなたの選んだ“あの子”との特別な夜が、 そっと灯りますように。




