表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

157/197

ep.86 精霊に風を分けるのです

風の精霊は、 まるで長い眠りから覚めたばかりのように、 ゆっくりと咲姫へ手を伸ばした。


風の精霊 「……あなたの風……すこし……  わたしに……かして……」


咲姫 「うぅ……また私なのです……  でも……困ってるなら……少しだけなのです……!」


咲姫がそっと精霊の手に触れた瞬間、 胸の奥がふわっと温かくなった。


風音 「……咲姫の風が流れてる。  精霊の力が戻っていく」


風花 「咲姫ちゃんの風、ほんとに優しいねぇ。  精霊さん、嬉しそうだよ」


果林 「光が強くなってるよ~。  咲姫の風、おいしいんだね~」


咲姫 「おいしいって言わないでほしいのですーー!!」


風の精霊 「……あたたかい……  やさしい風……  ありがとう……」


精霊の身体を包む光が、 ふわりと広がり、森の奥へ流れていく。


紗綾 「……猫は“封じられた風が動き出した”と言っています」


オグマ 「封じられた……?  何かが開くのか」


風音 「……うん。  精霊の力が戻れば、  森の奥の“封じられた場所”が開く」


咲姫 「封じられたって……何なのです……?」


風の精霊 「……あなたたちの仲間……  その場所へ……いった……  わたしの声に……みちびかれて……」


リオ 「仲間が……そこに……?」


風の精霊 「……でも……  その場所は……“風が閉じた場所”……  わたしの力がなければ……開かない……」


咲姫 「じゃあ……精霊さんを助けたから……開くのです?」


風の精霊 「……うん……  あなたの風が……鍵……」


咲姫 「また鍵なのですーー!!」


果林 「咲姫、鍵っ子だね~」


咲姫 「鍵っ子って言わないでほしいのですーー!!」


風の子 「……ひらく……  もうすぐ……ひらく……」


森の奥から、 今まで感じたことのない“風の気配”が流れてきた。


風音 「……来る。  封じられた場所が……開く」


咲姫 「ひゃっ……なんか胸がぽかぽかするのです……!」


風の精霊 「……ありがとう……  あなたの風で……道がひらける……」


光が森の奥へ吸い込まれるように流れ、 静かだった空気が、ゆっくりと動き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ