ep.84 森の奥、声の主なのです
風の子の案内で、咲姫たちはさらに森の奥へ進んだ。 空気は静かで、風はほとんど動かない。 それなのに、胸の奥だけが“ふわっ”と温かい。
咲姫 「なんか……胸がむずむずするのです……」
風音 「……咲姫の風が反応してる。 “誰かの声”が近い」
咲姫 「声って……誰なのです……?」
風花 「森の奥にいる“誰か”だねぇ。 咲姫ちゃんを呼んでるよ」
咲姫 「呼ばれても困るのですーー!!」
果林 「咲姫、ほんとモテモテだよ~」
咲姫 「モテなくていいのですーー!!」
紗綾 「……猫は“優しい声”と言っています」
オグマ 「敵意はなさそうだが、警戒はしておけ」
風の子 「……もうすこし…… もうすこしで……きこえる……」
リオ 「仲間の声じゃないのか……?」
風音 「……違う。 もっと“古い風”の声」
咲姫 「古いって……どういうことなのです?」
風音 「……森にずっといた風。 祠の影よりも、もっと前から」
咲姫 「そんな風、いるのです……?」
風花 「森ってねぇ、長い時間を生きてるんだよ。 だから“古い風”もいるんだよ」
咲姫 「風って生きてるのです……?」
風音 「……うん。 咲姫の風も、生きてる」
咲姫 「生きてなくていいのですーー!!」
果林 「咲姫の風、おいしいんだもんね~」
咲姫 「おいしいって言わないでほしいのですーー!!」
そのとき―― 森の奥から、かすかな“声”が聞こえた。
??? 「…………きて……」
咲姫 「ひゃっ……! い、今の聞こえたのです……?」
風音 「……うん。 “呼んでる声”」
風の子 「……あのひと……まってる…… あなたの……やさしい風……」
咲姫 「また私なのですーー!!」
オグマ 「進むぞ。 声の主は、咲姫を必要としている」
咲姫 「必要とされても困るのですーー!!」
それでも、 胸の奥の“ふわっ”とした温かさに導かれるように、 咲姫は一歩、森の奥へ踏み出した。
「誰と過ごしたい?」 クリスマス投票の結果は、12/25に物語の中で明かされます。 あなたの選んだ“あの子”との特別な夜が、 そっと灯りますように。




