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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.83 仲間の残した風、なのです

新しく生まれた風の子が、 ふわふわと森の奥へ進んでいく。


風の子 「……こっち……ついてきて……」


咲姫 「うぅ……また風に呼ばれてるのです……」


果林 「咲姫、モテモテだよ~」


咲姫 「モテなくていいのですーー!!」


紗綾 「……猫は“この子は嘘をつかない”と言っています」


風花 「風の子は、森の気持ちそのものだからねぇ。  案内してくれるなら安心だよ」


風音 「……この子、森の“記憶”を持ってる。  仲間が通った風も覚えてる」


リオ 「本当に……?  仲間の風、まだ残ってるのか……?」


風の子 「……のこってる……  でも……よわい……」


咲姫 「弱いって……どういうことなのです?」


風音 「……“急いで通った風”は、すぐ消える。  でも、気持ちが強いと、少しだけ残る」


咲姫 「気持ち……?」


風花 「“誰かに会いたい”とか、  “急がなきゃ”とか、  そういう気持ちが風に残るんだよ」


咲姫 「風って……そんなに覚えてるのです……?」


風音 「……うん。  咲姫の風も、ちゃんと覚えてる」


咲姫 「覚えなくていいのですーー!!」


オグマ 「静かにしろ。  風の子が止まった」


風の子は、 大きな木の根元でふわっと揺れた。


風の子 「……ここ……  ここで……とまった……」


リオ 「仲間が……ここで立ち止まった……?」


風音は木に手を当て、 風の流れを読むように目を閉じた。


風音 「……“迷ってた風”。  でも……“誰かの声”がした風」


咲姫 「声って……誰の声なのです?」


風音 「……わからない。  でも、仲間は“呼ばれた”」


咲姫 「呼ばれたって何なのですーー!!」


風花 「森の奥に、誰かがいたんだねぇ。  仲間さんは、その声を追ったんだよ」


紗綾 「……猫は“まだ生きている”と言っています」


リオ 「……よかった……  まだ間に合う……!」


風の子 「……もっと……おく……  つれていく……」


咲姫 「また奥なのです……!?  森、どこまで広いのですーー!!」


果林 「咲姫、がんばれ~。団子あるよ~」


咲姫 「団子は後なのですーー!!」


風の子が再びふわっと浮かび、 森のさらに奥へと進み始めた。


咲姫たちはその後ろを追い、 仲間の残した“風の記憶”をたどっていった。

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