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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.81 風を止めた存在、出てくるのです

北の森の奥へ進むと、 風が止まったままの空気が、ひんやりと漂っていた。


咲姫 「なんか……空気が重いのです……」


風音 「……風が“引いてる”。  誰かを待ってる風」


咲姫 「待たれても困るのです……!」


果林 「団子の匂いもしないよ~。  ほんとに風が止まってる~」


紗綾 「……猫も“気をつけろ”と言っています」


風花 「でも、怖い感じじゃないねぇ。  祠のときとは違うよ」


オグマ 「静かにしろ。  何かが近い」


そのとき、 森の奥から“風のない気配”がふっと現れた。


??? 「…………」


咲姫 「ひゃっ……! だ、誰なのです……!」


風音 「……風じゃない。  でも、風と仲良しの気配」


果林 「影さんみたいな感じ~?」


風花 「ううん、影さんより“しっかりしてる”よ。  風の形がある」


紗綾 「……猫は“悪意なし”と言っています」


オグマ 「姿を見せろ」


すると、 木々の間から、淡い光のような“人影”がふわっと現れた。


??? 「……風の子……?」


咲姫 「ふ、風の子って……私なのです……?」


風音 「……咲姫のこと、呼んでる」


??? 「……あなたの風……借りたい……」


咲姫 「また借りられるのですーー!!?」


果林 「咲姫、風にモテモテだよ~」


咲姫 「モテても困るのですーー!!」


風花 「でも、この子……困ってるみたいだよ。  風が足りてない」


風音 「……“風を止めた”のは、この子。  風が弱くて、動けなかった」


咲姫 「弱いのです……?」


??? 「……風……ほしい……  あなたの……甘い風……」


咲姫 「甘いって言わないでほしいのですーー!!」


オグマ 「咲姫。  危険はない。  祠の影と同じだ」


風音 「……咲姫の風を少し分ければ、  この子は動けるようになる」


咲姫 「また私なのですーー!!」


果林 「咲姫、がんばれ~。団子あげるから~」


咲姫 「団子は後なのですーー!!」


??? 「……お願い……」


咲姫は胸の奥が“ふわっ”と温かくなる方向へ、

「誰と過ごしたい?」 クリスマス投票の結果は、12/25に物語の中で明かされます。 あなたの選んだ“あの子”との特別な夜が、 そっと灯りますように。

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