ep.81 風を止めた存在、出てくるのです
北の森の奥へ進むと、 風が止まったままの空気が、ひんやりと漂っていた。
咲姫 「なんか……空気が重いのです……」
風音 「……風が“引いてる”。 誰かを待ってる風」
咲姫 「待たれても困るのです……!」
果林 「団子の匂いもしないよ~。 ほんとに風が止まってる~」
紗綾 「……猫も“気をつけろ”と言っています」
風花 「でも、怖い感じじゃないねぇ。 祠のときとは違うよ」
オグマ 「静かにしろ。 何かが近い」
そのとき、 森の奥から“風のない気配”がふっと現れた。
??? 「…………」
咲姫 「ひゃっ……! だ、誰なのです……!」
風音 「……風じゃない。 でも、風と仲良しの気配」
果林 「影さんみたいな感じ~?」
風花 「ううん、影さんより“しっかりしてる”よ。 風の形がある」
紗綾 「……猫は“悪意なし”と言っています」
オグマ 「姿を見せろ」
すると、 木々の間から、淡い光のような“人影”がふわっと現れた。
??? 「……風の子……?」
咲姫 「ふ、風の子って……私なのです……?」
風音 「……咲姫のこと、呼んでる」
??? 「……あなたの風……借りたい……」
咲姫 「また借りられるのですーー!!?」
果林 「咲姫、風にモテモテだよ~」
咲姫 「モテても困るのですーー!!」
風花 「でも、この子……困ってるみたいだよ。 風が足りてない」
風音 「……“風を止めた”のは、この子。 風が弱くて、動けなかった」
咲姫 「弱いのです……?」
??? 「……風……ほしい…… あなたの……甘い風……」
咲姫 「甘いって言わないでほしいのですーー!!」
オグマ 「咲姫。 危険はない。 祠の影と同じだ」
風音 「……咲姫の風を少し分ければ、 この子は動けるようになる」
咲姫 「また私なのですーー!!」
果林 「咲姫、がんばれ~。団子あげるから~」
咲姫 「団子は後なのですーー!!」
??? 「……お願い……」
咲姫は胸の奥が“ふわっ”と温かくなる方向へ、
「誰と過ごしたい?」 クリスマス投票の結果は、12/25に物語の中で明かされます。 あなたの選んだ“あの子”との特別な夜が、 そっと灯りますように。




