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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.79 北の森へ向かうのです

北の森へ向かう道は、昨日よりもずっと静かだった。 風が落ち着いていて、森全体が深呼吸しているようだった。


咲姫 「なんか……昨日より歩きやすいのです」


風音 「……祠の風が戻ったから。  森の“ざわつき”が消えた」


果林 「団子の袋の音も響かないよ~」


咲姫 「それは果林さんが食べてるからなのです……!」


紗綾 「……猫は“北の風が薄い”と言っています」


リオ 「薄い……?  それって、仲間が通った風……?」


風音 「……うん。  “急いで通った風”は、薄くて軽い。  誰かが走り抜けた風」


咲姫 「走り抜けたって……逃げてたのです?」


風音 「……逃げてた風。  でも、怖がってはいなかった」


咲姫 「怖がってないのです……?」


風花 「たぶん、“急いで誰かに会いに行った”風だよ。  そんな感じがするねぇ」


果林 「じゃあ、仲間さんは無事なんだね~」


リオ 「……そうだといい。  あいつは無茶するから……」


オグマ 「足跡は見えないが、風が道を示している。  このまま北へ進むぞ」


咲姫 「風が道を示すって……どうやってわかるのです?」


風音 「……咲姫も感じてるはず。  胸の奥が“ふわっ”とする方向」


咲姫 「ふわっ……?  あっ……なんか、こっちが気になるのです……」


風音 「……それ。  咲姫の風が“道を読んでる”」


咲姫 「読んでるって言われても困るのですーー!!」


果林 「咲姫、風にモテモテだよ~」


咲姫 「モテても困るのですーー!!」


紗綾 「……猫は“この先に何かある”と言っています」


風花 「風も猫も同じこと言ってるなら、間違いないねぇ」


オグマ 「気をつけろ。  風が薄いということは、何かが“風を奪った”可能性もある」


咲姫 「奪ったって何なのですーー!!」


風音 「……大丈夫。  咲姫の風があれば、道は開く」


咲姫 「また私なのですーー!!」


北の森の奥へ進むと、 確かに“誰かが急いで通った風”が、薄く残っていた。


リオ 「……この風、間違いない。  仲間の気配だ」


咲姫 「じゃあ……もうすぐ会えるのです?」


風音 「……うん。  でも、この先で“風が途切れてる”」


咲姫 「途切れてるって何なのです……?」


風音 「……誰かが“風を止めた”」


咲姫 「止めたって何なのですーー!!」


森の奥から、 ひんやりとした風がひとすじ流れてきた。

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