ep.77 町で休むのです
町に戻ると、いつもの賑やかな声が聞こえてきた。 森の冷たい空気とは違い、ここはあたたかい。
咲姫 「はぁ……やっと帰ってきたのです……」
果林 「団子~! 団子食べる~!」
紗綾 「……猫も“お腹すいた”と言っています」
風花 「みんな、よく頑張ったねぇ。 まずは休もうか」
風音は町の風を感じながら、 ゆっくりと目を閉じた。
風音 「……町の風、落ち着いてる。 森の異変が収まったから」
咲姫 「じゃあ……影さんのおかげなのです?」
風音 「……うん。 影が“風の道”をつないだ」
咲姫 「影さん……また来るのです……?」
風音 「……来る。 “また遊ぶ”って風が言ってる」
咲姫 「遊ぶって何なのですーー!!」
果林 「咲姫、影さんに気に入られてるもんね~」
咲姫 「気に入られても困るのです……!」
オグマ 「とにかく、今日は休め。 明日からリオの仲間の手がかりを探す」
リオ 「……ありがとう。 祠の風が戻ったおかげで、 仲間の気配が少しだけ感じられた」
咲姫 「感じられたのです?」
リオ 「うん。 “急いで森を抜けた風”が残ってた。 生きてる可能性が高い」
紗綾 「……猫も“生きている”と言っています」
風花 「風は嘘つかないからねぇ。 きっと会えるよ」
咲姫は胸に手を当てた。 祠で感じた“ふわっとした温かさ”が、まだ残っている。
咲姫 「……なんか、胸がぽかぽかなのです……」
風音 「……咲姫の風、少し強くなった。 祠の風と仲良くなったから」
咲姫 「強くなっても困るのですーー!!」
果林 「でも、咲姫の風、いい匂いするよ~」
咲姫 「匂いって何なのですーー!!」
風花 「ふふ。 咲姫ちゃん、風に好かれてるねぇ」
オグマ 「休め。 明日は忙しくなる」
咲姫 「は、はいなのです……!」
町の風は優しく、 咲姫たちを包み込むように吹いていた。




