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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.72 祠の奥、風の源なのです

祠の奥へ進むと、空気がさらに静かになった。 風が止まっているのに、どこかで「風の気配」だけが漂っている。


咲姫 「なんか……しんと静かすぎるのです……」


果林 「団子の袋の音がめっちゃ響くよ~……」


紗綾 「……猫も耳を立てています。何か感じているようです」


風花 「ここ、風が眠ってるみたいだねぇ」


風音 「……この奥に“風の源”がある。  祠の中心の、もっと奥」


咲姫 「源って何なのです……? 風の生まれる場所なのです?」


風音 「……うん。風の“始まり”」


咲姫 「始まりって何なのですーー!」


影 ふよっ(奥の小部屋を指すように揺れる)


オグマ 「影が案内している。行くぞ」


小部屋に入ると、中央に丸い石が置かれていた。 石はひんやりしているのに、どこか温かい気配を持っている。


咲姫 「これ……ただの石なのです?」


風音 「……風の源。  でも、今は“風が抜けてる”。  だから祠の風が弱かった」


果林 「じゃあ、影さんはここに風を戻したかったんだね~」


影 ふよふよ(肯定するように揺れる)


紗綾 「……影は祠の“風の欠片”だったのですね」


風花 「だから咲姫ちゃんの風を借りて、ここまで来たんだねぇ」


咲姫 「借りられてたのです!? 私の風……!」


風音 「……咲姫の風は“鍵”。  源に触れれば、風が戻る」


咲姫 「また私なのですーー!!」


影は咲姫の前に来て、 そっと咲姫の手に触れるように揺れた。


咲姫 「ひゃっ……! な、なんか優しいのです……」


風花 「影さん、お願いしてるんだよ。  “風を返して”って」


果林 「咲姫、がんばれ~。団子あげるから~」


咲姫 「団子で応援されても困るのですーー!」


オグマ 「やってみろ。危険はない」


咲姫 「うぅ……わかったのです……!」


咲姫が石にそっと手を置くと、 胸の奥がまたふわっと温かくなった。


石 かすかに光る。


影 ふよっ(嬉しそうに揺れる)


風音 「……咲姫の風が源に流れた。  これで“風が戻る”」


咲姫 「戻るって何なのですーー!!」


小部屋に、柔らかい風がふわっと広がった。 影の体が少しだけ明るくなったように見えた。


風花 「影さん……元気になってるねぇ」


紗綾 「……猫も“よかった”と言っています」


果林 「影さん、ぽかぽかだよ~」


影 ふよふよ(お礼を言うように揺れる)


咲姫 「えっ……影さん、ありがとうって言ってるのです……?」


風音 「……うん。“ありがとう”の風」


咲姫 「風でありがとうって言われてもわからないのですーー!」

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