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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.71 祠、目を覚ますのです

咲姫が石台に触れたまま、胸の奥がふわっと温かくなる。 その温かさに呼応するように、祠の空気がゆっくりと動き始めた。


石台 かすかに光を強める。


咲姫 「うぅ……なんか、胸がぽかぽかなのです……」


風音 「……咲姫の風が、祠に流れ込んでる」


咲姫 「流れ込むって何なのです……!」


影 ふよっ(嬉しそうに揺れる)


果林 「影さん、めっちゃ喜んでるよ~」


紗綾 「……猫も“よくやった”と言っています」


風花 「咲姫ちゃんの風、祠が欲しかったんだねぇ」


オグマ 「祠が反応している。問題はなさそうだ」


石台の光がふっと広がり、 部屋全体に柔らかい風が流れた。


咲姫 「わっ……風が動いたのです……!」


風音 「……祠が目を覚ました。  長い間、風が足りなかったみたい」


果林 「じゃあ、影さんは風を探してたんだね~」


影 ふよふよ(肯定するように揺れる)


咲姫 「えっ……影さん、風を探してたのです?」


風花 「咲姫ちゃんの風が特別だったんだよ。  だから案内してくれたんだねぇ」


紗綾 「……影は“風の欠片”だったのかもしれません」


風音 「……うん。祠の風が弱ったときに生まれた“風の子”」


咲姫 「風の子……?」


影 ふよっ(咲姫の手に触れるように揺れる)


咲姫 「ひゃっ……! つ、冷たくないのです……?」


風音 「……咲姫の風をもらって、影の風が温かくなった」


果林 「影さん、ぽかぽかだよ~」


オグマ 「これで祠は安定するのか?」


風音 「……まだ。  でも、祠の奥に“もうひとつ”風がある」


咲姫 「もうひとつ……?」


影 ふよっ(奥の通路を指すように揺れる)


風花 「影さん、まだ案内してくれるみたいだよ」


紗綾 「……猫も“行け”と言っています」


果林 「じゃあ、次は奥だね~」


咲姫 「うぅ……また私の風が必要なのです……?」


風音 「……咲姫の風、祠が好きみたい」


咲姫 「好きって何なのですーー!!」


影 ふよふよ(楽しそう)


咲姫たちは影の後ろをついて、 祠のさらに奥へと進むことになった。

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