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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.69 祠の中、影についていくのです

祠の中は、外よりもひんやりしていた。 薄暗いけれど、影がふよふよと先を照らすように動くので、道は見える。


咲姫 「なんか……影さん、慣れてるのです……」


影 ふよふよ(自信満々な動き)


果林 「完全に案内役だよ~。団子の匂いで動いてるわけじゃないよね?」


紗綾 「……猫は“団子ではない”と言っています」


風花 「影さん、ここが好きなんだろうねぇ。落ち着いてるよ」


風音 「……祠の奥、風が弱い。  でも、影の周りだけ風が動いてる」


咲姫 「影さん、風を持ってるのです……?」


風音 「……持ってるというより、“借りてる風”」


咲姫 「借りてるって何なのです……!」


オグマ 「とにかく、ついていくぞ。危険は感じない」


影は石段をふよっと降り、 古い壁画の前でぴたっと止まった。


咲姫 「ここ……何かあるのです?」


影 ふよっ(壁画を指すように揺れる)


果林 「壁に絵があるよ~。これ、風の絵?」


紗綾 「……風の流れを描いているように見えます」


風花 「昔の人が“風の道”を描いたのかもねぇ」


風音は壁に手を当て、 しばらく風の流れを読むように目を閉じた。


風音 「……この祠、風を集める場所。  影は……“風の残りかす”」


咲姫 「残りかすって何なのですーー!」


果林 「影さん、残りかすなの……? かわいそう……」


影 ふよっ(否定するように揺れる)


風花 「残りかすっていうより、“風の子ども”みたいな感じだよ」


紗綾 「……猫も“子どもだ”と言っています」


オグマ 「つまり、害はないということだな」


風音 「……うん。むしろ“助けたい風”」


咲姫 「助けたい……?」


影は咲姫の前に戻り、 胸の前で小さな円を描くように揺れた。


咲姫 「また円なのです……。これ、何の意味なのです?」


風音 「……“風の道を開いて”って意味」


咲姫 「開くって何なのですーー!!」


影 ふよっ(咲姫の手をつつくように揺れる)


風花 「咲姫ちゃんの風が必要なんだよ。  影さん、咲姫ちゃんに頼んでるんだねぇ」


果林 「咲姫、風の鍵なんだよ~」


咲姫 「鍵って何なのですーー!!」


影はもう一度、壁画の前に戻り、 今度は壁の“中心”を示すように揺れた。


風音 「……ここ。  咲姫の風を当てると、何かが動く」


咲姫 「動くのです!? 祠が!?  私の風で!? なんでなのですーー!!」


オグマ 「やってみろ。影が案内してるんだ」


咲姫 「うぅ……わかったのです……!」


咲姫が壁にそっと手を当てると、 胸の奥がふわっと温かくなった。


影 ふよっ(嬉しそうに揺れる)


壁 ゴゴゴ……(小さく震える)


咲姫 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!  本当に動いたのですーー!!」

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