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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.68 影、案内を始めるのです

影はしばらく咲姫の周りをくるくる回っていたが、 突然ふよっと向きを変え、祠の奥へ向かって進み始めた。


咲姫 「えっ……帰るのです? 影さん……?」


影 ふよふよと前へ進む。


果林 「これ、案内してるよね~。絶対そうだよ~」


紗綾 「……猫も“ついていけ”と言っています」


風花 「影さん、悪い子じゃないねぇ。道案内してくれてるのかも」


風音 「……咲姫の風に反応してる。  “こっちだよ”って風」


咲姫 「案内されてるのです!? 私たちが!?  影さんに!?」


オグマ 「……行くしかないな。危険は感じない」


咲姫 「危険はないけど、意味はわからないのです!」


影は祠の前でぴたっと止まり、 扉の隙間をふよっと指し示すように揺れた。


果林 「ほら~。完全に“こっち来て~”ってやつだよ~」


紗綾 「……猫も“行け”と言っています」


風花 「咲姫ちゃん、風が味方してるよ」


風音 「……祠の奥、風が弱い。  でも、咲姫の風なら通れる」


咲姫 「通れるって何なのです……!?  私、そんな特別な風じゃないのです!」


風音 「……甘い風。影が好きな風」


咲姫 「甘いって言わないでほしいのですーー!」


影は咲姫の前に戻り、 ふよふよと上下に揺れた。 まるで「大丈夫だよ」と言っているようだった。


オグマ 「行くぞ。影が案内してるうちに進む」


咲姫 「うぅ……わかったのです……!」


果林 「団子は……影に食べられないようにする~」


紗綾 「……猫は祠の中が気になるようです」


風花 「じゃあ、行こうか。風が呼んでるよ」


影 ふよっ(先導する)


咲姫たちは影の後ろをついて、 祠の中へと足を踏み入れた。

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