ep.65 影、団子に釣られるのです!
影はふよふよと咲姫の前で止まり、 まるで“観察している”ように揺れていた。
咲姫 「な、なんで私の前で止まるのです……!? 私、そんなにおいしい風してるのです……?」
風音 「……うん。咲姫の風、甘い匂いする」
咲姫 「甘いのです!? 風が甘いって何なのですーー!!」
果林は団子袋を抱えたまま、 影をじーっと見つめる。
果林 「……ねぇ、これ絶対団子好きだよね?」
影 ふよ~~(団子に寄る)
咲姫 「やっぱり団子なのですーー!!」
風花は笑いながら、 「団子に釣られる影って、なんか可愛いねぇ」 と、のんきに言う。
紗綾は猫を抱きしめ、 「……猫も“シャーッ”と言いながら、団子を守ってます」 と、静かに報告。
オグマは剣を構えたまま、 「……団子で釣るな。余計ややこしくなる」
果林 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
影、団子を“食べようとする”
影は団子袋にふよ?っと近づき、 まるで匂いを嗅ぐように揺れた。
果林 「だ、団子食べるの……? 影なのに……?」
影 ふよっ(団子に触れる)
団子 「……しゅわっ」
咲姫 「団子が溶けたのですーーー!!?」
風音 「……風に戻った。 団子の“甘い風”だけ吸った」
咲姫 「団子の甘い風って何なのですーー!!」
風花 「影さん、甘党なんだねぇ」
紗綾 「……団子の香りだけ吸われたようです」
果林 「団子の香りだけ吸うなんて…… なんか上品な影だね……?」
オグマ 「……団子を返せ」
果林 「返せないよーー!! 溶けたよーー!!」
咲姫、ちょっとだけ“風”を感じる
影がふよ?っと咲姫の方へ戻ってくる。
咲姫 「ひゃっ……! また来たのです……!」
影は咲姫の周りをくるくる回り、 まるで“風の匂い”を確かめているようだった。
その瞬間―― 咲姫の胸の奥が、 ふわっ と温かくなる。
咲姫 「……あれ……? なんか……風が……わかるのです……?」
風音が目を丸くする。 「……咲姫、風が“返事してる”」
咲姫 「返事って何なのですーー!!?」
風花は優しく微笑む。 「咲姫ちゃん、風に好かれてるんだよ。 だから影さんも寄ってくるんだねぇ」
果林 「咲姫、人気者だね~~!」
紗綾 「……猫も咲姫さんのこと好きですしね」
オグマ 「……とりあえず、影をどうにかするぞ」
咲姫 「どうにかって言われてもーー!! 団子しか効いてないのですーー!!」
影、突然“ぴたっ”と止まる
影は突然、 咲姫の目の前でぴたっと止まった。
咲姫 「えっ……な、なに……?」
影 ふよ~~(咲姫の風を味わってる)
風音 「……咲姫の風、甘い。 影、気に入ってる」
咲姫 「気に入られても困るのですーー!!」
果林 「咲姫、団子みたいな風してるのかも?」
咲姫 「団子みたいって何なのですーー!!」
風花 「かわいいねぇ、この影」
オグマ 「……かわいくはない」
紗綾 「……でも、敵意はなさそうです」
影 ふよ~~(団子の香りを探す)
果林 「団子はもうないよーー!!」




