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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.62 ゆれる風、呼ぶ風

翌朝。 町の空気は、昨日より少しだけ重かった。


咲姫は宿の窓を開け、 「なんか……風がざわざわしてるのです……」 と、胸に手を当てた。


果林は団子を抱えながら、 「うん……なんか落ち着かない風~」 と、そわそわしている。


紗綾は猫を抱きしめ、 「……町の人たちも、どこかそわそわしていますね」 と、静かに言った。


風花は窓辺で風を感じ、 「今日は“揺れる風”だねぇ。何かが動いてるよ」 と、優しく告げる。


風音は目を細め、 風の流れを深く読むように息を吸った。


「……森の奥で、風が“跳ねた”」


咲姫はびくっと肩を震わせる。 「は、跳ねたのです……?」


風音は短く頷いた。 「……祠の方角。昨日より強い。  “呼ぶ風”と“拒む風”がぶつかってる」


果林は団子を抱えたまま固まる。 「ひ、ひぃ……なんか怖い~……」


紗綾は静かに言った。 「……祠で何かが起きているのですね」


風花は咲姫の肩に手を置き、 「大丈夫。風はまだ味方だよ」 と、優しく微笑む。


リオの焦り

リオは宿の廊下で待っていた。 顔色はまだ完全ではないが、 その目には焦りが宿っていた。


「……風が、また変わった。  祠で……何かが起きてるんだ」


咲姫は心配そうに言う。 「リオさん、まだ無理しないでほしいのです……」


リオは首を振った。 「仲間が……まだ祠の近くにいるかもしれない。  僕は……行かないと」


風音が静かに告げる。 「……行くなら、今日。  風が“整い始めてる”」


咲姫は目を丸くする。 「整い始めてる……?」


風音は頷いた。 「……まだ完全じゃない。でも、  “行く風”が混じってる」


オグマは腕を組み、 「……なら、今日動くべきだな」 と、低く言った。


町の人々の不安

市場に出ると、 町の人々がざわざわしていた。


「森の方から変な音がしたって……」 「昨日より風が冷たいぞ……?」 「祠の噂、まさか本当なのか……?」


咲姫は胸をぎゅっと握る。 「みんな……不安なのです……」


風花は優しく言った。 「だからこそ、私たちが行くんだよ」


紗綾は静かに頷く。 「……町の人たちのためにも」


果林は団子を抱えながら、 「こ、怖いけど……がんばる~……」 と、小さく言った。


風音は風を読み、 「……祠の風が“呼んでる”。  今日、行くべき風」


オグマは短く言った。 「準備を整えろ。出発する」


祠へ向かう決意

宿に戻り、 咲姫たちは荷物をまとめた。


咲姫は深呼吸して、 「……行くのです。祠へ」 と、小さく呟いた。


風花は微笑んで、 「うん。大丈夫。風は味方だよ」


紗綾は猫を抱きしめ、 「……気をつけて行きましょう」


果林は団子袋をぎゅっと握り、 「団子……いっぱい持ったよ……!」 と、気合を入れる。


風音は風を読み、 「……森の風が“待ってる”。  行こう」


オグマは静かに頷いた。 「……祠で何が起きているのか、確かめる」


リオは震える手で地図を握りしめ、 「……ありがとう。みんな……」


町の門を出ると、 森の方角から、 ひゅう…… と、細い風が吹き抜けた。


それはまるで、 咲姫たちを“呼ぶ”ような風だった。

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