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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

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ep.61 静かな朝と、祠への準備

リオが倒れてから一夜明け、 町には穏やかな朝の風が吹いていた。


咲姫は宿の廊下をそっと歩き、 リオの部屋を覗いた。


「……リオさん、起きてるのです?」


リオは布団の上で体を起こし、 少しだけ顔色が良くなっていた。


「おはよう……昨日より、ずっと楽だよ。ありがとう」


咲姫はほっと胸を撫で下ろす。 「よかったのです……!」


果林は団子を持ってきて、 「はい、朝の団子~。元気出るよ~」 と、にこにこ差し出す。


リオは苦笑しながら受け取った。 「……本当に、君たち優しいね」


紗綾は猫を抱きながら、 「今日は無理をしないでくださいね」 と、静かに言った。


風花は窓を開け、 朝の風を感じながら微笑む。 「今日はいい風だよ。町の風は落ち着いてる」


風音は風の流れを読み、 「……森の風はまだ“整ってない”。祠には行けない」 と、淡々と告げた。


咲姫は首をかしげる。 「整ってない……?」


風音は短く答える。 「……風が乱れてる。行けば、風に逆らうことになる」


町での準備

オグマは町の鍛冶屋に向かい、 武器の点検をしてもらっていた。


鍛冶屋の男が笑いながら言う。 「お前さん、また危ないところに行くのか?」


オグマは短く答えた。 「……必要がある」


咲姫たちも市場で準備をしていた。


果林は団子屋で、 「旅団子セットください~!」 と、元気いっぱい。


店主は笑って袋を渡す。 「はいはい、気をつけて行くんだよ」


紗綾は薬草屋で、 「……回復に使えるものを少し」 と、静かに買い物をする。


風花は布屋で、 「咲姫ちゃん、これ肩に巻くと風が通りやすいよ」 と、優しく選んでくれる。


咲姫は照れながら、 「ありがとうなのです……!」 と、嬉しそうに受け取った。


風音は町の外の風を読み、 「……まだ“待つ風”。今日は準備の日」 と、静かに呟いた。


リオの決意

夕方、咲姫たちが宿に戻ると、 リオがゆっくりと立ち上がっていた。


「……僕も、祠に行くよ」


咲姫は慌てて手を振る。 「だ、だめなのです! まだ休んでほしいのです!」


リオは首を振った。 「仲間を……置いてきたままなんだ。  せめて、何が起きたのか確かめたい」


紗綾は静かに目を伏せる。 「……気持ちは、わかります」


風花は優しく言った。 「でも、無理はしないでね。風が味方してくれるときに」


風音は風を読み、 「……明日の風は“揺れる風”。まだ祠には行けない」 と、告げた。


オグマは腕を組み、 「……行くなら、風が整ってからだ」 と、低く言った。


リオは悔しそうに拳を握り、 「……わかった。待つよ」 と、小さく頷いた。


祠へ向かう前の静かな夜

咲姫は布団に入りながら、 「……こわいけど、でも……守りたいのです」 と、小さく呟いた。


風花は優しく微笑む。 「大丈夫。風は味方だよ」


風音は窓辺で風を読み、 「……明日の風は“知らせる風”。何かが来る」 と、静かに言った。


果林は団子を抱えたまま、 「おやすみ~……団子……」 と、寝言のように呟く。


紗綾は猫を撫でながら、 「……明日も、いい風が吹きますように」 と、静かに祈った。


夜風がそっと吹き抜け、 町の灯りが揺れた。

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