甘味漫遊記7:千夜の月華プリン日記
今日は月華坂で「月華プリン」を食べました。淡い金色の層と白い層が重なり、表面には小さな銀箔が散りばめられていて、まるで夜空に浮かぶ月と星を閉じ込めたような美しさでした。スプーンを入れるとやわらかく揺れ、口に入れるとやさしい甘さとほのかなバニラの香りが広がり、心がすっと落ち着いていきました。
町の人たちはこのプリンを「安らぎのプリン」と呼んでいて、食べると心が穏やかになり、夜を静かに過ごせるんだそうです。お店のおじさんも「これを食べると、月を見上げたくなるよ」と笑っていました。確かに、プリンを味わいながら夜空を見上げると、月の光が一層やさしく感じられました。
月華坂は夜になると人通りが少なく、石畳に月明かりが降り注ぎ、旗が風に揺れる音だけが響いていました。そんな中で食べる月華プリンは、まるで町全体が「おやすみ」と囁いているようで、心がふわっと温かくなりました。
……でも、気づけば風音が花灯最中を片手にこちらを見ていて、「交換しよう」と言われてしまいました。私は月華プリンを半分渡して、代わりに花灯最中を受け取ることに。月華プリンの静けさと花灯最中の華やかさが重なって、夜の広場に不思議な調和が生まれました。日記には「月華プリン、半分は風音の花灯最中と交換」と書いておこうかな。少し不思議だけど、こうして分け合うのもまた安らぎの形なのかもしれません。
夜はさらに深まり、広場は静けさを増していきます。旗は月光を受けて揺れ続け、町の安心を見守っていました。月華プリンの甘さは、夜の余韻とともに心に残り、未来へと続く道を静かに照らしているようでした。




