表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/197

甘味漫遊記7:千夜の月華プリン日記

今日は月華坂で「月華プリン」を食べました。淡い金色の層と白い層が重なり、表面には小さな銀箔が散りばめられていて、まるで夜空に浮かぶ月と星を閉じ込めたような美しさでした。スプーンを入れるとやわらかく揺れ、口に入れるとやさしい甘さとほのかなバニラの香りが広がり、心がすっと落ち着いていきました。


町の人たちはこのプリンを「安らぎのプリン」と呼んでいて、食べると心が穏やかになり、夜を静かに過ごせるんだそうです。お店のおじさんも「これを食べると、月を見上げたくなるよ」と笑っていました。確かに、プリンを味わいながら夜空を見上げると、月の光が一層やさしく感じられました。


月華坂は夜になると人通りが少なく、石畳に月明かりが降り注ぎ、旗が風に揺れる音だけが響いていました。そんな中で食べる月華プリンは、まるで町全体が「おやすみ」と囁いているようで、心がふわっと温かくなりました。


……でも、気づけば風音が花灯最中を片手にこちらを見ていて、「交換しよう」と言われてしまいました。私は月華プリンを半分渡して、代わりに花灯最中を受け取ることに。月華プリンの静けさと花灯最中の華やかさが重なって、夜の広場に不思議な調和が生まれました。日記には「月華プリン、半分は風音の花灯最中と交換」と書いておこうかな。少し不思議だけど、こうして分け合うのもまた安らぎの形なのかもしれません。


夜はさらに深まり、広場は静けさを増していきます。旗は月光を受けて揺れ続け、町の安心を見守っていました。月華プリンの甘さは、夜の余韻とともに心に残り、未来へと続く道を静かに照らしているようでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ