カクヨムPV200記念閑話⑤「うささま、神々しい登場を演出する(つもりが)」
カクヨムPV200記念閑話⑤
「うささま、神々しい登場を演出する(つもりが)」
「……よしっ」
うささまは、祠の奥で何かをかぶり、何かを手に持ち、何かを口ずさみながら、そろりそろりと戸口へ向かった。
「うさちぁん、いまから……しんかみモード……!」
ぱああああああっ!
突然、祠の戸が開き、まばゆい逆光の中から現れたのは―― 頭に紙垂を巻き、手にしゃもじを持った、金色の布をまとったうささま。
「うさちぁんは……よみがえったのです……!」
「「「……」」」
「このよに、ひかりをもたらすため……!」
「……それ、さっきの団子包んでた布じゃない?」
「しゃもじ、まだごはん粒ついてるよ……」
「ていうか、うしろの戸、ちゃんと閉めてなかったから、ずっと見えてたよ?」
「……えっ」
うささま、固まる。
「……」
「……」
「……うさちぁん、いまの、リハーサルだったの~」
「出たーーー!!」
三人が一斉に立ち上がり、拍手と笑いが巻き起こる。 咲姫がうささまに駆け寄って、手を取った。
「おかえりなさい、うささま!」
「……うさちぁん、ただいまぁ~」
果林がそっと盃を差し出す。
「おかえりの一杯、どうぞ。主役さん」
「うさちぁん、しゅやく……!」
「……まあ、最初からそうだったでしょ」
紗綾が、ふっと笑った。




