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カクヨムPV200記念閑話③「うささま、天岩戸にこもる」
「……うさちぁん、もう、でないもん……」
神社の奥、賽銭箱の裏に、うささまは丸くなっていた。 頭には葉っぱ、手には団子、そして背中には「しばらくおやすみ中」の札。
「咲姫たちが、にんきで……うさちぁん、かげのそんざい……」
そのころ、境内の外では――
「よし、準備できたよ!」
咲姫が張り切って、ちゃぶ台を設置。 その上には、しゅわしゅわ酒、団子、漬物、そして“うささまの好きなやつ”がずらり。
「……本当にこれで出てくるのかしら」
紗綾が冷静におちょこを並べながら、果林に目をやる。
「うささまのことだから、匂いにつられて出てくる……はず」
「じゃあ、始めましょうか。うささま、見てる前提で」
「かんぱーいっ!」
「「「かんぱーい!」」」
ちゃりん、と盃が鳴る。 しゅわしゅわの音が、神社の奥にふわりと届く。
「……ん?」
うささまの耳が、ぴくりと動いた。
「しゅわしゅわの……おと……?」




