短話:うささま感謝祭①「うささま、浴びるほど飲む」
「かんぱーい!ぷしゅわぁぁぁぁあぁ!」
夜の広場に、うささまの高らかな(?)声が響いた。 ぱん、と盃を打ち鳴らす音と同時に、あちこちから「かんぱーい!」の声が重なり、祭りの幕が上がる。
「ふわぁぁあぁぁ美味しい~……しゅわしゅわが、うさちぁんの鼻に、ぴょこって……ぴょこって……ふふふふふ」
うささまは、両手で抱えるほどの大きな盃を掲げ、くいっと一気に飲み干した。 その瞬間、耳がぴょこんと跳ね、顔がほんのり桜色に染まる。
「うま……うまうま……もっかい!おかわりっ!」
「うささま、まだ始まったばかりだよ……」 果林が苦笑いしながら、うささまの盃にそっとおかわりを注ぐ。 その手元には、特製の“花酵母のしゅわしゅわ酒”が、ほんのり香っていた。
「これ、去年の春に仕込んだやつ。ちょっと強いから、ゆっくり飲んでね?」
「ゆっくり……ゆっくり……ごくごくごくっ……ぷはぁぁぁぁ~~~~~っ!!」
「……うささま?」
「ふわぁぁあぁぁ美味しい~……おはな、咲いたぁ……うさちぁんの中で、しゅわしゅわ咲いたぁ……」
ふらりと一歩、二歩。 うささまの足取りは、すでにほんのり千鳥。
「うささま、まだ一杯目だよね?」
「のんでないよ~?これは……あれ……おかわり……どこ……?」
果林がそっと盃を取り上げると、うささまは両手をぱたぱたと振って抗議した。
「うさちぁんの!それ、うさちぁんのしゅわしゅわぁ~!」




