表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
3章~【咲姫編】風の記憶、影の願い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

100/197

ep.47 冒険者たちのざわめき

昼が近づくにつれ、町の外れは少しずつ騒がしくなっていった。 冒険者たちが集まり、荷物をまとめたり、地図を広げたり、武具の点検を始めている。


咲姫はその様子を見て、 「なんか……みんな忙しそうなのです」 と、きょとんとした顔で呟いた。


果林は団子の串をくるくる回しながら、 「冒険者って、いつもあんな感じなのかな~。なんか、慌ただしい~」 と、のんびりした声で言う。


紗綾は猫を抱いたまま、冒険者たちの動きを観察していた。 「……何か、探しているようにも見えますね」 猫も同じ方向を見つめ、耳をぴくりと動かす。


風音は風の流れを読むように目を細めた。 「……風が跳ねてる。誰かが焦ってる気配」 その言葉に、風花が優しく頷く。


「焦りの風は、踊りにくいねぇ。でも、悪い人たちじゃなさそうだよ」 風花は踊り子らしい柔らかな声で言い、鍋の蓋を軽く叩いた。


冒険者の一人が、こちらに気づいて駆け寄ってきた。 「すまない! この辺りで“重い足跡”を見なかったか?」 息を切らしながら、必死の表情で尋ねてくる。


咲姫は首をかしげた。 「足跡……? 朝、なんか風が変だったのです」


風音が静かに補足する。 「……重い気配は確かに近い。まだ姿は見えないけど」


冒険者はその言葉に目を見開いた。 「やっぱり……! あいつが近くにいるのか……!」


周囲の冒険者たちもざわつき始める。 剣を握り直す者、仲間に合図を送る者、緊張が一気に走った。


果林は団子をもぐもぐしながら、 「なんか……大変なことになってきた~?」 と、のんびりした声で言う。


風花は咲姫の肩に手を置き、優しく言った。 「大丈夫。怖がらなくていいよ。風は、まだ私たちを守ってくれてる」


咲姫は小さく頷いた。 「……うん。なんか、わかるのです」


昼の光の中で、風がひとつ跳ねた。 冒険者たちのざわめきは、これから始まる“何か”を予感させていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ